5年後僕は死ぬ

あたな

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罪と後悔

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 2023年 日本
 平和に満ちたこの国では、闘いは愚か武器すら所持することなく、平凡な日常が早送りのようなペースで進んでいた。
 そんな中、宇宙は地球に小さな落し物をした。
 そんな小さなヒビは破滅の始まりに過ぎなかった。

 「長く生きろよ…じゃあな……」
「はっ…はぁはぁ……夢か」
  ここの所何度も見る。人?を殺してしまう夢だ……
  いつも肝心なところが途切れている不思議な夢。
  この国では人に殺される或いは人を殺してしまうという可能性を誰もが忘れてしまうような平凡な平和に守られている。
 はずだった……
「なんだ今の音と地響きは!?」
 ドカーンと音を立てて何かが空から降ってきた。
 騒然としている街の中で俺は目撃してしまった……
「え??ドッペルゲンガー??」
 中性的でいかにもモテそうなイケメンの男。
 その男の手に全く同じ顔の男の亡骸……
「キャー誰か警察を!!うっ」
 周囲がパニックに変わる。まさに平和がぶち壊れた瞬間であった……
「洒落にならねぇ。逃げよう!!」
 無差別な虐殺を行う男から逃げる以外手段がなかった。
 俺はとにかく走った。人の頭が右から左へ飛んでいく光景を見る暇もないほどに走って走って心臓が飛び出そうな時奴が目の前に現れた……
「終わりか。」
 死を悟った時、世界の理が見えた気がした。
 なんでも出来ると思った……
「うおおおおお!死んでたまるかよ!!」
 振るいあげた拳はやつの頭を木っ端微塵にした。
「はぁはぁ。なんだったんだあいつは。」
「君、やるね。素質あるよ。」
黒い服で身を固めた男はそういって俺に近づいてきた。
「初めまして。僕はウルカ。自衛隊で戦士として闘っている。君は適合率99%の逸材であり死の淵で力を覚醒させる超レア体質だ。僕らと一緒に闘ってくれ!いや、闘え。そうすれば全てを教えてやる。」
「わかった。自衛隊は衣食住着いてくるんだろ?俺にとってそれだけで十分だ!」
「ふふっ。さすがは戸籍なしホームレスなだけはあるな。自衛隊特別調査隊へようこそ!!アルカ君!!」
  この出会いが、俺の世界を救うための第1歩になることをこの時はまだ知る由もなかった。
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