聖女様と呼ばれた男

一色瑠䒾

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肆話

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 女性は自分の事を『勇者様』と呼んだフレイスに虚無の表情で聞き返す。

「あ、あたしは聖…」
「勇者様です!」
「くっ…」

 女性の発言を有無も言わせず、即答するフレイス。同情したユウは、話を掘り下げる。

「フレイ、勇者はじゃあなかったのか?」
「えぇ。魔物封印の結界呪力が最も弱まる30年周期毎に行う『重装結界の義』を異国の世界から、聖女様は女性。弱まった結界の歪みから、こちらの世界に入り込む『魔物討伐』を勇者様は男性が、救世主様としてお招きしておりました。実際、先代の時に行った『召喚の義』を目の当たりにしましたが、性別については記述通りでした」
「そうか、なんかすまないな。が来てしまったようだ」
「じゃ、あたしも紛いモノ?」

 フレイスは微笑しながら、女性に対して優しく振る舞う。

「いえいえ、そんな事はありませんよ。性別だけが記述と異なる事以外、能力値においては、すべて過去救世主様をも軽く上廻る規格外の存在なのです。ですから、是非ともこの国を守って頂きたいと願っております」

「こちらに来て、この国を守る義理は何一つ無いが、偶然にも命を救われた身だからな。俺はかまわないよ、力になれるかは保証はしないが」
「長髪のアンタ、躊躇しないわね」
「この状況で無駄に抵抗した所でリスクしか無いからな。そちらに敵意は無いようだし、この国の最高位の王様と仲良くなっておくのも今後、この国で生活するのも不自由はないだろう。『長い物には巻かれろ』だ」
「そうね…まぁ、どうせのパターンなら、元の世界には戻れないわよね…」

「おや、よくご存知で? 先程『プロパティハック』で拝見した所、や予言スキルの類は無かったはずですが? さすが、今回の勇者様は特別と言った所ですね」
「え? あ、まぁ、予備知識が多少はあるだけよ…(女子ゲーで理解済みとは言えないし、まず説明がめんどくさいわー)」
「申し訳ありませんが、勇者様がおっしゃった通り、この世界から元の世界へ戻る術はありません。半生を奪った上、難題を押し付ける形となり、大変申し訳ないと思っています。ですから、この国ではできる限り好きにして頂きたい」

「なら、遠慮なくそうさせてもらうよ」
「じゃ、あたしもお言葉に甘えて」

「自国を受け入れて頂きたかった事もあり、長々と一方的に話をしていまいました。どうか、お許しを。遅くなりましたが、お二人のお名前を伺っても?」

「俺は、聖園優輝(みそのゆうき)だ」
「あたしは、黒姫勇里(くろひめゆうり)よ」
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