5 / 6
肆話
しおりを挟む
女性は自分の事を『勇者様』と呼んだフレイスに虚無の表情で聞き返す。
「あ、あたしは聖…」
「勇者様です!」
「くっ…」
女性の発言を有無も言わせず、即答するフレイス。同情したユウは、話を掘り下げる。
「フレイ、勇者は男じゃあなかったのか?」
「えぇ。魔物封印の結界呪力が最も弱まる30年周期毎に行う『重装結界の義』を異国の世界から、聖女様は女性。弱まった結界の歪みから、こちらの世界に入り込む『魔物討伐』を勇者様は男性が、救世主様としてお招きしておりました。実際、先代の時に行った『召喚の義』を目の当たりにしましたが、性別については記述通りでした」
「そうか、なんかすまないな。紛いモノが来てしまったようだ」
「じゃ、あたしも紛いモノ?」
フレイスは微笑しながら、女性に対して優しく振る舞う。
「いえいえ、そんな事はありませんよ。性別だけが記述と異なる事以外、能力値においては、すべて過去救世主様をも軽く上廻る規格外の存在なのです。ですから、是非ともこの国を守って頂きたいと願っております」
「こちらに来て、この国を守る義理は何一つ無いが、偶然にも命を救われた身だからな。俺はかまわないよ、力になれるかは保証はしないが」
「長髪のアンタ、躊躇しないわね」
「この状況で無駄に抵抗した所でリスクしか無いからな。そちらに敵意は無いようだし、この国の最高位の王様と仲良くなっておくのも今後、この国で生活するのも不自由はないだろう。『長い物には巻かれろ』だ」
「そうね…まぁ、どうせラノベのパターンなら、元の世界には戻れないわよね…」
「おや、よくご存知で? 先程『プロパティハック』で拝見した所、先読みや予言スキルの類は無かったはずですが? さすが、今回の勇者様は特別と言った所ですね」
「え? あ、まぁ、予備知識が多少はあるだけよ…(女子ゲーで理解済みとは言えないし、まず説明がめんどくさいわー)」
「申し訳ありませんが、勇者様がおっしゃった通り、この世界から元の世界へ戻る術はありません。半生を奪った上、難題を押し付ける形となり、大変申し訳ないと思っています。ですから、この国ではできる限り好きにして頂きたい」
「なら、遠慮なくそうさせてもらうよ」
「じゃ、あたしもお言葉に甘えて」
「自国を受け入れて頂きたかった事もあり、長々と一方的に話をしていまいました。どうか、お許しを。遅くなりましたが、お二人のお名前を伺っても?」
「俺は、聖園優輝(みそのゆうき)だ」
「あたしは、黒姫勇里(くろひめゆうり)よ」
「あ、あたしは聖…」
「勇者様です!」
「くっ…」
女性の発言を有無も言わせず、即答するフレイス。同情したユウは、話を掘り下げる。
「フレイ、勇者は男じゃあなかったのか?」
「えぇ。魔物封印の結界呪力が最も弱まる30年周期毎に行う『重装結界の義』を異国の世界から、聖女様は女性。弱まった結界の歪みから、こちらの世界に入り込む『魔物討伐』を勇者様は男性が、救世主様としてお招きしておりました。実際、先代の時に行った『召喚の義』を目の当たりにしましたが、性別については記述通りでした」
「そうか、なんかすまないな。紛いモノが来てしまったようだ」
「じゃ、あたしも紛いモノ?」
フレイスは微笑しながら、女性に対して優しく振る舞う。
「いえいえ、そんな事はありませんよ。性別だけが記述と異なる事以外、能力値においては、すべて過去救世主様をも軽く上廻る規格外の存在なのです。ですから、是非ともこの国を守って頂きたいと願っております」
「こちらに来て、この国を守る義理は何一つ無いが、偶然にも命を救われた身だからな。俺はかまわないよ、力になれるかは保証はしないが」
「長髪のアンタ、躊躇しないわね」
「この状況で無駄に抵抗した所でリスクしか無いからな。そちらに敵意は無いようだし、この国の最高位の王様と仲良くなっておくのも今後、この国で生活するのも不自由はないだろう。『長い物には巻かれろ』だ」
「そうね…まぁ、どうせラノベのパターンなら、元の世界には戻れないわよね…」
「おや、よくご存知で? 先程『プロパティハック』で拝見した所、先読みや予言スキルの類は無かったはずですが? さすが、今回の勇者様は特別と言った所ですね」
「え? あ、まぁ、予備知識が多少はあるだけよ…(女子ゲーで理解済みとは言えないし、まず説明がめんどくさいわー)」
「申し訳ありませんが、勇者様がおっしゃった通り、この世界から元の世界へ戻る術はありません。半生を奪った上、難題を押し付ける形となり、大変申し訳ないと思っています。ですから、この国ではできる限り好きにして頂きたい」
「なら、遠慮なくそうさせてもらうよ」
「じゃ、あたしもお言葉に甘えて」
「自国を受け入れて頂きたかった事もあり、長々と一方的に話をしていまいました。どうか、お許しを。遅くなりましたが、お二人のお名前を伺っても?」
「俺は、聖園優輝(みそのゆうき)だ」
「あたしは、黒姫勇里(くろひめゆうり)よ」
0
あなたにおすすめの小説
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる