訳あり勇者。

一色瑠䒾

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第 一 話

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 僕は勇者だった。
 あの惨劇が起こってしまったダンジョンでの出来事までは…

 あの日、僕たち勇者パーティーはベースキャンプ地の南にある『 イザナミの塔 』のダンジョン攻略も最終段階だった。待ちに待ったラスボスとの決戦の日を迎えた。


 僕の特化した勇者スキルは『 常時絶対的防御力 』防具や装飾品などの装備品を一切身に付けて無い状態で、すでに防御力のパラメーターの最上限値を超え、更に振り切っているのと、『 ディスペルマジック 』そう、あらゆる全ての魔法効果を完全無効にするものだった。この魔法の世界で、このスキルは厄介なものとされ、煙たがれていた。


 今話した通り、僕の勇者としての能力は至極地味である。他の勇者の能力で言えば、ど派手な攻撃系の魔法やら、仲間への回復系、アシスト系魔法など、パーティー内の信頼をより厚くするには申し分もないだろう。ところが、僕はと言うと、自己防御に極端に特化している上、仲間の回復系魔法や、アシスト魔法も一切受け付けない、そんな、一方通行な勇者がパーティーに加わる意味は皆無だった。

 そんな、独りよがりな勇者の僕をパーティーに快く誘ってくれた心優しい女剣士がいた。

 彼女は言った。魔法が受け付けないのなら、アイテムで対処すればいいと。
 確かに魔法は受け付けないが、薬草やポーションなどのアイテムなら効果を打ち消す事はなかった。そんな、彼女の提案のおかげで、メンバーを招く事が出来、パーティーの一人となる事と仲間を持つ事が叶った。


 しかし、数週間後、僕の常時発動する勇者スキルによって、大惨事を招く事になる。

 あのダンジョンクエストのリタイヤの代償はこの上なく大きいものだった。こんな僕を招き入れ、支えてくれた、心優しい女剣士が犠牲となり、今も城下町にある医療施設で意識不明の状態だった。

 そんな女剣士の見舞いに、なるべく身元が割れない様に地味な格好でコッソリと通っていた。僕は心の弱さを酒の力で誤魔化そうと、帰りに立ち寄った酒場で、ある噂を耳にする。酒場の奥の席から小声で話す二人がいた。

『 あの守りの勇者がよ、毒だけは効くらしいぜ 』

『 へー、魔法攻撃も城に備付けの対ドラゴン用重火器も効かねえバケモノが、毒が効くのかよ(笑 』

『 あぁ、あの勇者のパーティーに潜り込んだヤツが毒を盛った結果がパーティー全滅のクエストリタイヤらしいぜ!』

『 それは、えげつねぇな(笑 』




 こうして僕は、パーティー内の裏切りにより、パーティーからの追放と、勇者の職を失った理由を知った。

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