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第 二 話
しおりを挟むVRゴーグルの画面がブラックアウトしてから約6秒後、徐々に視界は明るく鮮明になってきた。前回、セーブした冒険ギルド前にあるセーブポイント付近に私は現れた。メニュー画面でワールドタイムを表示させると、待ち合わせ時間である20時のちょうど10分前であった。ギルドメンバーの若い子らより早く到着してしまい、歳の差が余計と恥ずかしさを増した。
私はメニュー画面からフレンドリストを覗くも、ギルドメンバーはまだどなたもログインしてはいなかったので、バックパックにあるアイテムリストから在庫の確認をしていた。
回復系アイテムの隣枠には私がこのVRゲームに初エントリーした時に、このギルドメンバーから頂いた数々のレアアイテムや装備品の他、当時実施されていた『 ウェルカムキャンペーン!初心者救済処置豪華アイテムプレゼント !』の複数アイテムはまだ大事に取ってあった。
メニュー画面のワールドタイムは待ち合わせ時間の5分前を表示していた。
「 この冒険ギルドで、いや、多分このVRMMOゲームで最年長の私が一番浮かれているよな 」
そう呟いている私は現実世界ではベッドに横たわり、多分、VRゴーグル下の口元がにやけているであろうと、自分自身に若干気持ち悪さを感じていた。
と、その時だった。
このワールド全体で、地を震わすほどの重圧な警告音が連続的に鳴り響いた。
プレイ初、街の中での緊急クエスト発生であった。だが、なんだか様子が違っていた。攻め入る敵は集団のドラゴントゥースウォーリアだった。これは一体につきギルドメンバーのレベル100以上の方が数人でパーティーを組み、更に魔法の剣であるドラゴンスレイヤーでしかダメージを与えることが出来ない龍属性に闇属性を合わせたモンスターだと聞いていた。
私はメニュー画面から発生クエストの詳細を見た。
〈緊急クエスト〉
『 闇魔王軍襲来!勇者殲滅す 』
・ワールドマップ内の全勇者死亡でクエストクローズ(0/4783)
・ドラゴントゥースウォーリアの討伐(0/200)
私は身震いが起きた。まだ、レベル5のひよっこ見習い勇者だ。そんなモンスターに勝ち目がある訳がない。そんな絶望を余所に街のNPCキャラクターが次々と悲鳴と共に切り倒されていく。ギルドの仲間がこのクエストに巻き込まれてない事を祈るばかりであった。
そして、気が付けば私は闇魔王軍の最恐モンスター、ドラゴントゥースウォーリアの大群に囲まれた。
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