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第8章 武器(剣2)
#43 答えは簡単なこと?
しおりを挟むアトゥムスに様々な剣を試してもらいつつどういった剣をつくるべきなのか検討したのだが、まさかの鉄の剣という結論に落ち着いてしまった。
本当に鉄の剣で良いのか確かめるためにも、まずは幾つか剣を試作していく。
■■■
「今度こそどうですか?」
「うーん、これも駄目だね」
鉄の剣がしっくりきたからというので、エルラーと共にひたすら鉄をベースで剣を作り続けるがアトゥムスに納得してもらえない。
「うがー! 何が駄目なのかそろそろ教えてくださいよ!」
かれこれ数十本の剣がボツにされて頭がこんがらがってきた。同じ形状、同じ重さに作っても結局は駄目だった。
「まぁまぁ落ち着いて、それが分かってたら始めから言ってるよ。本当になんだろうね……」
「あと、違うことと言えば……」
「加護ですかね」
後ろからいきなり話しかけられる。
「うわっ、ヒソネさんいつの間に!」
「まぁ随分前からいましたし、アトゥムスさんは気づいてくれてましたよ……」
もはやそういうスキルを持ってるのではないかと思いたくなってくるヒソネの影の薄さだが、気配を察知できるスキルを持っていると気付けるらしい。
「ごめんなさい……それで何と言いました?」
「だから加護の有り無しではないのですか?」
剣の質ばかりにとらわれていたので、付随することを確認するのを忘れていた。加護は確かに能力の向上のような効果はあるが、手に馴染む感覚の部分にも影響が有るのだろうか?
「……どうなんですかアトゥムスさん?」
「ああ、それもそうだね。普段は神官が加護を加えた聖剣を使ってるから、ハヤトの持ってた聖剣がしっくり来たのかも」
「そうか……そんな簡単な理由だったのですね」
今まで剣の質の部分に特化した努力が全く意味がなかったと分かってしまいガックリする。しかし話はそう単純ではないらしくエルラーが忠告してくる。
「まぁ理由がわかった所で、そんな加護を剣に与えられるやつなんてこの商会にはいないがな」
「あっそうか……アトゥムスさん、知り合いの神官に頼めないんですか?」
「うーん、まぁ無理ではないかもしれないけど、君たちだけで何とかしないと意味無いでしょ? それなら最初から他に頼むだろうし」
確かに魔結晶のこともあるし、あまり人に見せびらかせれるものでもない。出きるだけ自分たちだけでなんとかしなければいけないのだ。
「そうですよね……それなら他に何か方法を見つけ出さなければいけないですね」
口に出したのだが、ここまで散々試してみて駄目だったのに新たな答えが見つけられる気がしない。
結局は質の部分を工夫してアトゥムスに満足して貰える剣を作り出さなければいけないのかもしれない。
こうして再び頭を悩ますことになったのだった。
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