【完結】騎士団でいつの間にか外堀埋められ陥落した話+その後の話

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番外編

4.アルとカミル―4―

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「自分でどうにかするつもりだったの? こんなに誘っているのにね」

 左右へぐいっと両足を広げられ、奥の窄まりが晒される。レオンの目に映されてしまった隠しようのない淫らな痴態をどう思ったのか。はしたなく求める姿はさぞ滑稽だろう。
 わかっていてもそこを埋めてほしいという欲求が理性を上回る。レオンで満たされたくて熱望していた。

「ねえ、っ挿れて……っ」

 正気ならば言葉にすることのない懇願を口にする。今は何を言ったって俺のせいではないから。身体が熱いのも、レオンを欲しがるのも、すべてはあの術式が間違っていたから。だから何を口走って望んだとしても許される。
 けれど、俺が求めているのにレオンは知らぬ顔だ。望みを叶えてくれようとしない。

「ここっ、……レオン、いれ、てっ……」

 もっと強い刺激が欲しいのに、それができる人はレオンしかいないのに、頼んでもしてくれない。それなら別の何かで埋めないと、この熱い身体はもう治まらない。
 握りしめていたシーツから手を離し、そろりと自分の秘処へ這わせる。だってそうしなければレオンを求めて疼く身体を鎮められない。快楽を知っている身体だ。何もせず落ち着かせることなんてできない。

「駄目だよ、アル。ここに入っていいのは俺だけ。だから自分の指でも入れちゃいけないよ?」

 レオンは秘処へ伸ばした俺の手を戒めてしまった。

「やっ、もう……ここっ」

 堪えきれず眦から涙が落ちる。感情的な涙と生理的なものが混ざったそれを、レオンの親指が拭き取った。

「うん、欲しいね。アルに与えるのも教えるのも……誰なのか、覚えておいて」
「わか、わかったから……っ!」

 本当は何もわかってなどいないのに俺は必死に頷いて、だからちょうだい。挿れて──たぶんそう言ったのだと思う。
 レオンの剛直を捩じ込まれ、嬌声なのか吐息なのか意味のない喘ぎ声をひたすら発していた。
 また途中でやめられてはかなわない。離すまいとレオンの腰へ足を絡めていた気もする。伸ばした腕で掻き抱き、与えられる快楽をひたすら貪った。何度も吐精を促され、身体はドロドロに汚れた。
 後孔にレオンの白濁を受け止め、肚の中に温かいものが広がった。そのまま抜かれることはなく、引いてはまた奥へと向かっていく。切っ先が内壁をこすり、ぬちゅりぬちゅり、孔から精液が溢れてもまた注がれた。

「ぁ、っ……はっ、む、り……っ」
「大丈夫。まだできるよ」

 声が枯れ始め、喘ぎながらどうにか息を吸った。キスで口を塞がれると苦しいのに、けれど離れてしまうと寂しい気がして、塞がれることを自ら望んだ。

「イっ、た……っ、あ、ぁ? ~~っ」

 もう俺の陰茎は吐き出すものがなくなり、レオンが動くと力なくぷらぷら揺れていた。それでも与えられる刺激で押し出された体液が滲み出てくる。

「アル……アルフォンス……ッ」
「……っ、ァ゙………」

 駄目だと思った。レオンが真上から刺すように一番奥を抉ったから。

 体力も気力も限界に近かった俺は、耐えきれずにそこで意識が途切れた。





「アル! ごめんね……」
「…………」
「本当に、ごめんってば!」

 邸にカミルが来ていた。手には山ほどの果物と俺が好きだと言った菓子を土産にして。
 レオンから俺の様子に異常はなく元気であることは聞いていたらしいが、念の為、魔術回路の確認に訪れていた。レオンからは話相手になってやってくれとも頼まれたらしい。

「統括団長が暇してるだろうからって。疲れもあったのかな、熱出るなんて……おかしいな」
「あ、うん……熱といっても、そんな、ないし」

 怠いだけで動くことはできる。ただ一日中ソファから動いていないというだけで。実質、部屋から出ていないのは熱のせいにした。
 それだって術式の誤記が原因じゃない。レオンが手加減してくれなきったから、身体が驚いてこの有様なのだ。だからカミルが気に病む必要はない。

「本当に、これからは気をつけるよ」
「……うん」

 きっかけは魔術回路の誤記だったのかもしれないが、つけ込んだのはレオンだし、手を伸ばしたのも俺の意思だ。カミルに落ち込まれると返答に困る。

「僕の好きなおすすめのはちみつ持ってきたんだ。これ飲んでみてよ、美味しいから。喉にもいいし」
「ありがとう」

 カミルがそう言って、とろみのある温かい飲み物を淹れてくれた。それを飲みながら、今回の魔術回路の説明と今後の予定を話し合う。

「そういえば、あそこで魔術回路を修正した後、一時間くらい休めば目眩とか治まったでしょ?」
「えっ……?」
「ん?」

 ちゃんと直したのにダメだった? おかしかった? と聞かれ、あのときは意識がぼんやりしていて周りのがどういった状況なのか何も知らない。もちろんカミルとレオンが交わした会話も聞こえておらず、俺は答えようがなかった。
 そもそも、目眩ってなんだ? 俺の症状とは微妙に違う……

「寝て、起きて……何ともなかった、といえば……何ともなかった、けど」
「平衡感覚がおかしくなってたと思うんだよね。休めば直りますから、ってレオン統括団長に伝えたんだけど。それはそれとして今日のこれはアルが愛されている結果の不調ってことで、……術式とは関係なしでいいんだよね?」

 お互い不思議な顔をしていた。いや、ちょっと待ってくれ。カミルは何をどこまで……頭が痛い。

 どうも齟齬が生じている気がしてよくよく話を聞いてみたところ、魔術の誤記を直して休めば、身体への影響は改まったらしい。何しろカミルいわく目眩だ。誤記という原因を取り除くことによって症状は快復する。
 それなのにレオンが熱もあるようだから寮へ連れ帰ってしっかり休ませると。実際は目眩というより身体の芯に熱が灯っていたわけだから、それを伝えるのも憚れる。レオンに運ばれた後はただぐずくずに絆され、求め合うことになったのだから。

 あのとき放っておいてくれたら、こんなに動けなくなることはなかったんじゃないか。しかもそれをカミルに知られるなんて。レオンに文句を言いたい。いや、けれどお互い様と言えばそうでもある。

 しかめっ面になった俺に、『え、何か違うの? 昨日は無理矢理だったの? 団長に進言しようか?』ってカミルが心配するから。

「………大丈夫、俺も……」

 慕ってる──って、正直に答えるしかない。



 他愛ないことを話しながら次の予定を決めているうちに、睡魔がやってきた。俺の様子にカミルがじゃあまたねって部屋を後にした。
 うつらうつらしていると、額にふわりと温かいものが触れ、無意識に笑ってしまった。

 強引で勝手なのに、たまに弱気で、
 俺に幸せを与えられる唯一の人は、
 少しだけ独占欲が強い……かもしれない。



アルとカミル おわり
別話の番外編が少し続きます

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