【本編完結】『運命』の旦那様、本当の愛を教えてください!!

秋条かなん

文字の大きさ
27 / 65
3章

27

しおりを挟む



ヴァイザーは一通の手紙を見て頭を悩ませていた。

「どうするべきか、、」

「またゼルトザーム家ですか?」

「あぁ」

カイエルはお茶を入れながら面倒くさそうに手紙を見つめるヴァイザーに視線を向ける。
ゼルトザーム家は貴族であるが最近かなり力を伸ばしている。特に魔法道具の開発に長けておりエルフォルク家やシュバルツ家も使用している物はいくつもある。ゼルトザーム家の当主であるラート公爵はその実力を認められ最近公爵の位を与えられたばかりだ。
だからこそ無碍にできない存在である。

「ここ最近多いですね」

「どうしても見て欲しい魔法道具があるらしい、しかもそれがグレンツェに見て欲しいと」

「公爵でなければ無理だ、と言うだけだがそうもいかない。だが、グレンツェを連れ出すのも気が引ける」

「そうですね、まだあんなことがあったばかりですし」

「あぁ、他の令嬢からグレンツェへの茶会の招待状も後を絶たないがそれも危険すぎる。だが、ゼルトザーム家はこれから交流を増やしていかなければ。権力を伸ばしすぎても困るからな」
(魔法道具での協力関係は結んでおいて損は無さそうだ。)

「それもそうですね」

「ラート公爵がこちらに来るように伝えてくれ」

「かしこまりました」

今思えば手紙を送る装置もゼルトザーム家の魔法道具である。その装置の音が嫌に耳に響いた。


その日の夜。ヴァイザーはグレンツェと一緒に夕食を食べていた。

「グレンツェ、明日は一応予定を空けておいてくれ」

「?はい、わかりました!」

「ラート公爵がグレンツェに見せたいものがあるらしい」

「見せたいものですか?」

「あぁ、魔法道具だと言っていたが」

「魔法道具、、」

「心配するな、私が隣にいる」

「っ!はい!ありがとうございます!」

あの事件が起きたからか少し不安そうにするグレンツェが心配なヴァイザーだが、同じ過ちを繰り返さないよう心に誓う。
(あの事件を知るのはシュバルツ家とエルフォルク家だけだ。何も知らない貴族はグレンツェとの距離を縮めようとしてくるだろう。グレンツェとの距離を取らせつつグレンツェがこの世界に馴染めるようにすることが私の役目だ。)


次の日、馬車に乗ってやってきた公爵を城の客間に通す。

「わざわざご足労感謝する」

「これはこれは。ヴァイザー様。招待頂き感謝します。なんとも立派な城ですな」


少ししゃがれた声のラート公爵は細身で丁寧に伸ばしたであろう髭をいじりながら言う。

「ラート公爵もそのうち立派な城を建てるのだろう?」

「いやいや、この城には到底及びません。ところでグレンツェ様は、、」

「まずは私にその魔法道具を見せて頂きたい。それからでいいだろう」

「噂には聞いておりましたが、、大変グレンツェ様を大切になさっておられるのですね」

「妻を大切にしない夫などいないだろう?」

「それもそうですな」

楽しそうに笑うラート公爵は一旦落ち着くとテーブルの上に煌びやかな箱を3つ置いた。
その箱を一つ一つ手に取りヴァイザーはじっくりとみた。
(複雑な魔法がかかっているが、、そこまで強い魔力はかかっていないな)

「ゼルトザーム家は細かい魔力操作が得意なようだな」

「見ただけでそこまで分かるとは、、さすがヴァイザー様、敵いませんなぁ」

「いいだろう、グレンツェを呼ぶ」

「ありがとうございます、」

カイエルに指示するヴァイザーの背後でニヤリと笑うラート公爵がいた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。 与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。 専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、 失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。 そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、 セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。 「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」 彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、 彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。 嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、 広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、 独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。 栄養と愛情を取り戻したセレナは、 誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、 社交界で注目される存在となる。 一方、セレナを失った伯爵家は、 彼女の能力なしでは立ち行かず、 ゆっくりと没落していくのだった――。 虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました

鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。 けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。 そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。 シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。 困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。 夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。 そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。 ※他投稿サイトにも掲載中

処理中です...