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3章
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しおりを挟むヴァイザーは一通の手紙を見て頭を悩ませていた。
「どうするべきか、、」
「またゼルトザーム家ですか?」
「あぁ」
カイエルはお茶を入れながら面倒くさそうに手紙を見つめるヴァイザーに視線を向ける。
ゼルトザーム家は貴族であるが最近かなり力を伸ばしている。特に魔法道具の開発に長けておりエルフォルク家やシュバルツ家も使用している物はいくつもある。ゼルトザーム家の当主であるラート公爵はその実力を認められ最近公爵の位を与えられたばかりだ。
だからこそ無碍にできない存在である。
「ここ最近多いですね」
「どうしても見て欲しい魔法道具があるらしい、しかもそれがグレンツェに見て欲しいと」
「公爵でなければ無理だ、と言うだけだがそうもいかない。だが、グレンツェを連れ出すのも気が引ける」
「そうですね、まだあんなことがあったばかりですし」
「あぁ、他の令嬢からグレンツェへの茶会の招待状も後を絶たないがそれも危険すぎる。だが、ゼルトザーム家はこれから交流を増やしていかなければ。権力を伸ばしすぎても困るからな」
(魔法道具での協力関係は結んでおいて損は無さそうだ。)
「それもそうですね」
「ラート公爵がこちらに来るように伝えてくれ」
「かしこまりました」
今思えば手紙を送る装置もゼルトザーム家の魔法道具である。その装置の音が嫌に耳に響いた。
その日の夜。ヴァイザーはグレンツェと一緒に夕食を食べていた。
「グレンツェ、明日は一応予定を空けておいてくれ」
「?はい、わかりました!」
「ラート公爵がグレンツェに見せたいものがあるらしい」
「見せたいものですか?」
「あぁ、魔法道具だと言っていたが」
「魔法道具、、」
「心配するな、私が隣にいる」
「っ!はい!ありがとうございます!」
あの事件が起きたからか少し不安そうにするグレンツェが心配なヴァイザーだが、同じ過ちを繰り返さないよう心に誓う。
(あの事件を知るのはシュバルツ家とエルフォルク家だけだ。何も知らない貴族はグレンツェとの距離を縮めようとしてくるだろう。グレンツェとの距離を取らせつつグレンツェがこの世界に馴染めるようにすることが私の役目だ。)
次の日、馬車に乗ってやってきた公爵を城の客間に通す。
「わざわざご足労感謝する」
「これはこれは。ヴァイザー様。招待頂き感謝します。なんとも立派な城ですな」
少ししゃがれた声のラート公爵は細身で丁寧に伸ばしたであろう髭をいじりながら言う。
「ラート公爵もそのうち立派な城を建てるのだろう?」
「いやいや、この城には到底及びません。ところでグレンツェ様は、、」
「まずは私にその魔法道具を見せて頂きたい。それからでいいだろう」
「噂には聞いておりましたが、、大変グレンツェ様を大切になさっておられるのですね」
「妻を大切にしない夫などいないだろう?」
「それもそうですな」
楽しそうに笑うラート公爵は一旦落ち着くとテーブルの上に煌びやかな箱を3つ置いた。
その箱を一つ一つ手に取りヴァイザーはじっくりとみた。
(複雑な魔法がかかっているが、、そこまで強い魔力はかかっていないな)
「ゼルトザーム家は細かい魔力操作が得意なようだな」
「見ただけでそこまで分かるとは、、さすがヴァイザー様、敵いませんなぁ」
「いいだろう、グレンツェを呼ぶ」
「ありがとうございます、」
カイエルに指示するヴァイザーの背後でニヤリと笑うラート公爵がいた。
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