【本編完結】『運命』の旦那様、本当の愛を教えてください!!

秋条かなん

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3章

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グレンツェが目を覚ました時には足に鎖が付けられ地下牢のような場所にいた。土と錆の匂いが漂っている。
(こんなことしなくても魔法も使えないのだから逃げたりしないのに)

なぜか冷静なのはこのような扱いが初めてではないからかもしれない。地下牢に閉じ込められるのは初めてだがグレンツェ自身は毎日こんな気分だった。小さい頃から蝶よ花よと育てられた令嬢であればここまで落ち着いていることなどできないはずだ。
(でも、ここはどこだろう?自分の部屋にいたはずなのに、、)

グレンツェはまだ働かない頭で考えるが頭痛がするだけでどうしてこうなったのか覚えていない。
(自分の部屋にいたことは覚えてるけど、何をしていたんだっけ?)

もしかして自分がなにか悪いことをしたのかも、と不安になる。
(だとしたらここはエルフォルク家かしら、、)

だか、そんな不安はすぐに消えることになった。足音がしたかと思えば目の前に現れたのはラート公爵だった。そこで全て思い出す。
ラート公爵がエルフォルク家にきてヴァイザーにアランが作ったという魔法道具を買ってもらったことを。

「目が覚めましたか?グレンツェ様」

ニヤリと笑うラート公爵は座り込んでいるグレンツェに目線を合わせるようにしゃがみこんできた。

「さぞかし驚いたことでしょう、、。まさかあなたの大切な友人であるというアランにこんなところまで連れてこられてしまったのですから、」

「っ!アランは、、!アランに会わせて」

「ふっ、それは出来ませんよ。あなたがこんな目に合ってるなんてアランが知ったら何をしでかすか分かりませんから、」

楽しそうに笑うラート公爵は続けて言う。

「アランはあなたのためにここへ来たのに利用されてあなたを殺す羽目になったのですよ!!まさか、お金が欲しいから雇ってくれと来た少年が幻の魔法の持ち主だったとは、、!しかもグレンツェ様名前を出せば何でもやると言い出して、、バカな男だ。もともとグレンツェ様のためにお金を集めていたそうですよ?こちらとしては運が良すぎてこちらが騙されているのではと思いましたよ」

アランは利用されていると確信したグレンツェは敵が目の前にいるラート公爵だけであることに安心する。

「ショックで何も喋れませんか?グレンツェ様がエルフォルク家に嫁がれてはこちらとしては都合が悪いのですよ、、しかし、『運命』を殺すことは簡単ではありません、、ですが!!アランがいることでグレンツェ様とヴァイザー様を同時に殺すことに成功するのですっ!!」

「っ!旦那様も、、?」

「そうです、そうです!ヴァイザー様から聞かされてはいませんか?ヴァイザー様の母親が自殺して亡くなってすぐに父親も後を追うように自殺して亡くなったのです!それだけ『運命』は強い縛りなのです!つまり、あなた様を殺せばヴァイザー様も程なくして自死することでしょう!」

「そんな、、」

グレンツェは正直自分が死ぬくらいなら、と思っていた。元々そこまで生きる意欲が強かったわけでない。魔力を持ってもう一度、生まれ変わりたいと思っていた。だが、ヴァイザーも、と言われれば話は別だ。
両親の話も1度も聞いたことはなかったがヴァイザーが話さなかったのも理由があるはずとグレンツェは考えていた。

「あっ!でも安心してください、グレンツェ様!ヴァイザー様には会える機会を与えますよ!それが最期ですがね」

ではまた明日、と立ち上がり去っていたラート公爵の背中を睨む。
電気も消され薄暗くなった地下牢は時間が経つにつれどんどん寒くなり震えが止まらない。
この震えが死への恐怖か寒さゆえか分からない。

(旦那様、、今必死になって探してくれているのかな、私が殺される時はきっと旦那様の目の前。それが『運命』を感じることが出来る旦那様への最大の屈辱。それをラート公爵はわかっているのね)

グレンツェはヴァイザーのことを考えながら土埃の被った床に横になり目を閉じた。
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