【本編完結】『運命』の旦那様、本当の愛を教えてください!!

秋条かなん

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4章

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「俺ならグレンツェに本物の愛を教えてあげられる」

脳内で先程のアランの言葉が繰り返される。
全く意識してなかった訳ではない。私のために今までたくさんの仕事をしてきたと知り、嬉しさと同時に友達とは違う感情を抱かれているのでは?と勘違いしそうになった。だか、違うと頭の中で完結していた。

(も、もし、、ほんとに少しの確率かもしれないけどアランが私を好きだとしたら申し訳ないことをしたわ、、。また今度謝りに行こう)

だか、数日後にアランの作業場に行けば忙しいから、と作業場に入らせて貰えなかった。ヴァイザーはそれなら2人で庭を散歩しよう、と楽しそうに歩き出したがグレンツェの気分は乗らなかった。

そして1ヶ月後、武闘会まであの3週間ほどとなった今もあの日からアランはグレンツェを避けていた。
(本当に忙しいとは思うけど、、でも明らかに避けられているわ。優勝して欲しいからわがままも言えないし、嫌われちゃったのかな)

今日もアランに作業場に入ることを断られたグレンツェは肩を落とした。







その日の夜。
ヴァイザーは作業場に来ていた。

急に入ってきたヴァイザーにアランは驚いたようだが何かを察したかのように何も言わずそのまま作業を続けた。ヴァイザーは近くの椅子に腰掛けると足を組みながらその様子をしばらく見ていた。

「グレンツェと喧嘩でもしたのか」

沈黙を破ったのはヴァイザーだ。

「してない」

アランは手を止めることなく冷たく言い放つ。

「ならなぜグレンツェを避ける、私としてはお前に興味を持たなくなればいいと思うが。グレンツェは酷く落ち込んでいたぞ」

グレンツェが少しでも落ち込んでいればその原因を何としても排除したいヴァイザーはアランを鋭い視線で睨んでいる。

「っ、あんたはいいよな、」

「急に何の話だ」

作業する手を止めたアランは視線をヴァイザーに向ける。

「グレンツェは悩んでいたよ、私が愛しても本物の愛は返ってこないって。本物の愛を求める自分が嫌だって、、だから俺なら本物の愛をあげられるって言ったんだ」

ヴァイザーも分かっていた。自分しか『運命』を感じることが出来ない。だから『運命』が分からないグレンツェからしたら急に自分のことを愛しはじめて『運命』に囚われているのだと感じるだろう。全てわかった上でただ隣にいてくれればいいと思っていた。最初は自分の気持ちの変化に追いつけずにこの気持ちは跡継ぎのためだと言い聞かせた。だが、そんな気持ちこそが偽りでヴァイザーは本気でグレンツェを愛しているのだ。グレンツェがいなくなればそれは自分の死を表す。それほどまでにグレンツェを愛しているのだ。今は怖いと思われたくなくて優しく接しているが本能のままに動けばグレンツェを縛り付けずっと目の届くところに置いておくだろう。
他の男のところに行くなんて以ての外だ。
しかし、そんな気持ちを思いのままに吐けばアランにも引かれそうなので冷静に答える。

「それでなんでお前がグレンツェを避けるんだ」

少し俯いたアランはぽつりぽつりと話し始める。

「グレンツェは必ず謝ってくる。あんなこと聞いてごめん、とか、、、そんなの嫌なんだ。」

「、、、」

「あんな中途半端で終わりたくない。絶対に優勝してちゃんと気持ちを伝えるんだ。それで堂々と振られることにするよ」

アランは落ち着いた声色で言うとヴァイザーをもう一度見る。

「グレンツェは今まで我慢してきた。ずっとずっと一人で生きてきた。そんなグレンツェにわがままになれる相手ができたことが嬉しいんだ。僕じゃないのは悔しいけど、、だから、グレンツェのわがまま全部叶えてあげてよ」

ヴァイザーは立ち上がるとアランに向かい合う。

「約束しよう」

ヴァイザーが出した小指にアランの小指が絡まる。
こうしてヴァイザーはグレンツェのわがままを全部叶えるという男同士の掟を結ぶことになったのだった。



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