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第66話 ありがとうの涙
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コンコン、と控えめなノックの音。
机に広げた本から顔を上げると、扉の向こうから柔らかい声が届いた。
「……天音ちゃん、起きてる?」
「はい、どうぞ」
返事をすると、凛子さんがそっと扉を開けて入ってきた。夜更けの廊下の灯りが背に差し込み、その輪郭を優しく縁取っている。
「こんな時間にごめんね」
「全然大丈夫です、凛子さんは怪我どうですか?」
「もう大丈夫よ、天音ちゃんは?」
「はい、私も大丈夫です……あ、すみませんどうぞ」
私は、凛子さんを部屋の中へ招き入れる。
凛子さんは私のベッドの脇に腰を下ろすと、少しだけ息を整えてから微笑んだ。
その笑顔は、昨日の戦いの張り詰めたものとは違って、どこか安堵に満ちている。
「……あの子、陸くんのこと。本当にありがとう……やっと謝る事が出来た」
改めてそう言われ、胸がぎゅっと締めつけられる。
凛子さんの捜索任務で出会った少年――神兵化した陸さん。凛子さんが、優しい嘘をついてしまった少年。陸さんを救えたのは、私一人の力じゃないのに。
「私なんて……ただ必死だっただけです。助けられたのも、凛子さんやみんなのおかげで」
「そんな事ない。天音ちゃんが私に立ち向かう勇気をくれたのでも、あの子に一番近くで声を届けたのは天音ちゃんよ」
凛子さんの瞳が、揺れるように私を見つめる。
その真剣さに、視線を逸らすこともできず、私は小さく頷いた。
――私にも……できることがあるんだ。
その事実が、じんわりと私の中に広がっていく。
力なんてまだ未熟で、皆みたいに強くもない。だけど……私の言葉や想いは、無力なんかじゃない。
「……凛子さん。私、ほんとに……嬉しいです」
「天音ちゃんは、陸くんと私の心を救ってくれたの」
その一言で、涙がこぼれそうになった。
凛子さんの友人を救ったわけではない。完全に取り戻せたわけでもない。
それでも、最期の瞬間に寄り添えたことを、凛子さんがこうして認めてくれることが――たまらなく嬉しかった。
「ありがとう、天音ちゃん。本当に」
そう言って、凛子さんは私の頭をそっと撫でてくれた。
母親のようなその温もりに、胸の奥がじんわりと温かくなっていく。
胸の奥がじんわりと熱くなって、気づけば私は涙を浮かべながら笑っていた。
「……私、少しは……みんなの役に立ててるんだなって」
こぼれた声は震えて、涙で滲んだ視界の中で、私は必死に笑みを繕った。
泣きたくて、でも笑いたくて。
不思議とその二つが混ざり合って、胸の奥から込み上げるものを抑えられなかった。
自分がいてもいいんだと、やっと信じられた気がしたから。
机に広げた本から顔を上げると、扉の向こうから柔らかい声が届いた。
「……天音ちゃん、起きてる?」
「はい、どうぞ」
返事をすると、凛子さんがそっと扉を開けて入ってきた。夜更けの廊下の灯りが背に差し込み、その輪郭を優しく縁取っている。
「こんな時間にごめんね」
「全然大丈夫です、凛子さんは怪我どうですか?」
「もう大丈夫よ、天音ちゃんは?」
「はい、私も大丈夫です……あ、すみませんどうぞ」
私は、凛子さんを部屋の中へ招き入れる。
凛子さんは私のベッドの脇に腰を下ろすと、少しだけ息を整えてから微笑んだ。
その笑顔は、昨日の戦いの張り詰めたものとは違って、どこか安堵に満ちている。
「……あの子、陸くんのこと。本当にありがとう……やっと謝る事が出来た」
改めてそう言われ、胸がぎゅっと締めつけられる。
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凛子さんの瞳が、揺れるように私を見つめる。
その真剣さに、視線を逸らすこともできず、私は小さく頷いた。
――私にも……できることがあるんだ。
その事実が、じんわりと私の中に広がっていく。
力なんてまだ未熟で、皆みたいに強くもない。だけど……私の言葉や想いは、無力なんかじゃない。
「……凛子さん。私、ほんとに……嬉しいです」
「天音ちゃんは、陸くんと私の心を救ってくれたの」
その一言で、涙がこぼれそうになった。
凛子さんの友人を救ったわけではない。完全に取り戻せたわけでもない。
それでも、最期の瞬間に寄り添えたことを、凛子さんがこうして認めてくれることが――たまらなく嬉しかった。
「ありがとう、天音ちゃん。本当に」
そう言って、凛子さんは私の頭をそっと撫でてくれた。
母親のようなその温もりに、胸の奥がじんわりと温かくなっていく。
胸の奥がじんわりと熱くなって、気づけば私は涙を浮かべながら笑っていた。
「……私、少しは……みんなの役に立ててるんだなって」
こぼれた声は震えて、涙で滲んだ視界の中で、私は必死に笑みを繕った。
泣きたくて、でも笑いたくて。
不思議とその二つが混ざり合って、胸の奥から込み上げるものを抑えられなかった。
自分がいてもいいんだと、やっと信じられた気がしたから。
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