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マリー地方へ
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「あたいが旧皇都に行くのは解放団旗揚げ後にするわ。娘連れていくから危険が伴うからね」
翌日、そう言ったキラと別れた。
南地方と東地方を繋ぐマリーの関所、ボレイル将軍―――――
どうやったらうまくばれずに通れるか……ずっと思い悩んでいた。
「セシル、あんまり暗い顔ばっかすんなよ!」
クルーに明るく言われても気持ちは晴れなかった。
「もうすぐ……着きますね」
アベルの一言で顔を上げたら目の前にマリーの関所があった。
はじめてみたマリーの関所は、東地方の岩山から採った岩を使って造った強固なものだった。
「普通にしていたら平気だろうから」
クリックに言われて役人に通行手形を見せた。
役人と言っても武装した兵士。ボレイル将軍の姿はない。
クリック、ゼシカ、クルー、アベル
4人は難無く通れた。
「ちょっと待て……見た顔だな」
あたしが通れると思った瞬間、聞き慣れた声がした。
間違いなくボレイル将軍だ―――――。
あたしより先に行った4人は明らかに焦った顔をしてこちらを見ている。
あたしも……覚悟を決めるべき。
振り返り、将軍を見た。
まだ、剣には触らずに、ただ顔だけ向けた。
「私は帝国の将軍様にお知り合いはおりません。将軍様が私なんかにお声を掛けてくださり光栄です」
なるべく普通に、でもボレイル将軍には嘘と気づかれるだろうけど……知らないフリをした。
これが吉となるか凶となるか……。
しばらく将軍はあたしと見ていたけどフッと一息ついて口を開いた。
「知り合いの娘さんに似ていた気がしたが……気のせいだったようだな。通ってよい」
「失礼します」
頭を下げて将軍の横を通った。
「ハーン様は……今はどうされているかな?」
あたしに聞いたように一言言ったが、聞こえないふりをした。
4人の元について振り向いたらボレイル将軍はもういなかった。
「セシル!名演技だな!」
「私はヒヤヒヤしましたよ」
クルーとアベルが次々に言ったけど、あたしは答えられなかった。
握っていた手を開いたら汗でじっとりと湿っていた。
翌日、そう言ったキラと別れた。
南地方と東地方を繋ぐマリーの関所、ボレイル将軍―――――
どうやったらうまくばれずに通れるか……ずっと思い悩んでいた。
「セシル、あんまり暗い顔ばっかすんなよ!」
クルーに明るく言われても気持ちは晴れなかった。
「もうすぐ……着きますね」
アベルの一言で顔を上げたら目の前にマリーの関所があった。
はじめてみたマリーの関所は、東地方の岩山から採った岩を使って造った強固なものだった。
「普通にしていたら平気だろうから」
クリックに言われて役人に通行手形を見せた。
役人と言っても武装した兵士。ボレイル将軍の姿はない。
クリック、ゼシカ、クルー、アベル
4人は難無く通れた。
「ちょっと待て……見た顔だな」
あたしが通れると思った瞬間、聞き慣れた声がした。
間違いなくボレイル将軍だ―――――。
あたしより先に行った4人は明らかに焦った顔をしてこちらを見ている。
あたしも……覚悟を決めるべき。
振り返り、将軍を見た。
まだ、剣には触らずに、ただ顔だけ向けた。
「私は帝国の将軍様にお知り合いはおりません。将軍様が私なんかにお声を掛けてくださり光栄です」
なるべく普通に、でもボレイル将軍には嘘と気づかれるだろうけど……知らないフリをした。
これが吉となるか凶となるか……。
しばらく将軍はあたしと見ていたけどフッと一息ついて口を開いた。
「知り合いの娘さんに似ていた気がしたが……気のせいだったようだな。通ってよい」
「失礼します」
頭を下げて将軍の横を通った。
「ハーン様は……今はどうされているかな?」
あたしに聞いたように一言言ったが、聞こえないふりをした。
4人の元について振り向いたらボレイル将軍はもういなかった。
「セシル!名演技だな!」
「私はヒヤヒヤしましたよ」
クルーとアベルが次々に言ったけど、あたしは答えられなかった。
握っていた手を開いたら汗でじっとりと湿っていた。
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