45 / 297
マリー地方へ
5
しおりを挟む
昼前にはマニの村に着いた。
マニの村は、ティエンの町を思い出すような村だった。
「キラを探すか……まぁアイツはあそこにしかいない」
そう言ってクリックは歩きだして、あたしは訳もわからず着いていった。
この村にありがちなボロボロな民家。
その一軒をノックした。
「はい?」
そう言って出てきたのは銀髪の少女だった。
「あ!クリック!」
その子は嬉しそうに外に出た。
「クルーも!あとはみんなお仲間さん?」
「まぁな。仕事の依頼」
クルーが言うとその子は家に上げてくれた。
家は外装同様、内装も貧しさが出ていた。
「こっちだよー!」
少女が手招きする先はキッチンだった。
床の一部分を叩くと床が横にずれた。
「隠し部屋?」
あたしが聞くと「そう!」と笑顔で答えた。
「クリックー!あたしは待ってるねー!
終わったら三回叩いて!そうしたら開くから!」
「ラキ!ありがとうな!」
あの少女はラキというらしい。
階段を降りたらすぐに扉があった。
クルーがノックして返事がある前に開けた。
「返事する前に開ける無礼者はクルーかラキかどっちかだと思ったよ」
ラキ同様に銀髪の女性はタバコを加えてあたしを見た。
「レイちゃんから鳩を飛ばされてね。話は大筋聞いた。3人分の通行手形、もうすぐできるよ」
「さすがキラは仕事が早いな」
クリックが関心したように言った。
「レイちゃんのお願いなら聞くしかないじゃない。ホラ、これが一番若いお姉ちゃんの」
放り投げられた通行手形にはあたしと同じ手の大きさ、そして全く知らない名前が書かれていた。
「手形って面倒なんだよね、照合する手段がないじゃんか?だから近々手形はなくして通行書に変えるらしいよ」
「なんだって!?」
「だから、あたいもここの仕事が一段落したら娘を連れて旧皇都を目指すよ。まだまだあたいの力、必要だろう?」
そう言って彼女は笑った。
クルーから紹介を受けた彼女はキラという女性。
表向きは農家という肩書だが、裏の本職は偽の通行手形作り……解放団全員彼女が通行手形を作ったらしい。
そして、先程の少女はラキというキラの娘だった。
「はい、3人分!これでマリー地方行けるよ!」
「サンキューキラ!お礼は今度でいいか?」
クルーの一言にキラは鼻で笑った。
「あんたがお礼をしてくれた記憶なんかないから期待しないで待っているわ」
その一言にあたしも思わず笑ってしまった。
マニの村は、ティエンの町を思い出すような村だった。
「キラを探すか……まぁアイツはあそこにしかいない」
そう言ってクリックは歩きだして、あたしは訳もわからず着いていった。
この村にありがちなボロボロな民家。
その一軒をノックした。
「はい?」
そう言って出てきたのは銀髪の少女だった。
「あ!クリック!」
その子は嬉しそうに外に出た。
「クルーも!あとはみんなお仲間さん?」
「まぁな。仕事の依頼」
クルーが言うとその子は家に上げてくれた。
家は外装同様、内装も貧しさが出ていた。
「こっちだよー!」
少女が手招きする先はキッチンだった。
床の一部分を叩くと床が横にずれた。
「隠し部屋?」
あたしが聞くと「そう!」と笑顔で答えた。
「クリックー!あたしは待ってるねー!
終わったら三回叩いて!そうしたら開くから!」
「ラキ!ありがとうな!」
あの少女はラキというらしい。
階段を降りたらすぐに扉があった。
クルーがノックして返事がある前に開けた。
「返事する前に開ける無礼者はクルーかラキかどっちかだと思ったよ」
ラキ同様に銀髪の女性はタバコを加えてあたしを見た。
「レイちゃんから鳩を飛ばされてね。話は大筋聞いた。3人分の通行手形、もうすぐできるよ」
「さすがキラは仕事が早いな」
クリックが関心したように言った。
「レイちゃんのお願いなら聞くしかないじゃない。ホラ、これが一番若いお姉ちゃんの」
放り投げられた通行手形にはあたしと同じ手の大きさ、そして全く知らない名前が書かれていた。
「手形って面倒なんだよね、照合する手段がないじゃんか?だから近々手形はなくして通行書に変えるらしいよ」
「なんだって!?」
「だから、あたいもここの仕事が一段落したら娘を連れて旧皇都を目指すよ。まだまだあたいの力、必要だろう?」
そう言って彼女は笑った。
クルーから紹介を受けた彼女はキラという女性。
表向きは農家という肩書だが、裏の本職は偽の通行手形作り……解放団全員彼女が通行手形を作ったらしい。
そして、先程の少女はラキというキラの娘だった。
「はい、3人分!これでマリー地方行けるよ!」
「サンキューキラ!お礼は今度でいいか?」
クルーの一言にキラは鼻で笑った。
「あんたがお礼をしてくれた記憶なんかないから期待しないで待っているわ」
その一言にあたしも思わず笑ってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
【完結】金貨三枚から始まる運命の出会い~家族に虐げられてきた家出令嬢が田舎町で出会ったのは、SSランクイケメン冒険者でした~
夏芽空
恋愛
両親と妹に虐げられ続けてきたミレア・エルドール。
エルドール子爵家から出ていこうと思ったことは一度や二度ではないが、それでも彼女は家に居続けた。
それは、七年付き合っている大好きな婚約者と離れたくなかったからだ。
だがある日、婚約者に婚約破棄を言い渡されてしまう。
「君との婚約を解消させて欲しい。心から愛せる人を、僕は見つけたんだ」
婚約者の心から愛する人とは、ミレアの妹だった。
迷惑料として、金貨三枚。それだけ渡されて、ミレアは一方的に別れを告げられてしまう。
婚約破棄されたことで、家にいる理由を無くしたミレア。
家族と縁を切り、遠く離れた田舎街で生きて行くことを決めた。
その地でミレアは、冒険者のラルフと出会う。
彼との出会いが、ミレアの運命を大きく変えていくのだった。
甘そうな話は甘くない
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」
言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。
「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」
「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」
先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。
彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。
だけど顔は普通。
10人に1人くらいは見かける顔である。
そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。
前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。
そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。
「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」
彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。
(漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう)
この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。
カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
皆さん、覚悟してくださいね?
柚木ゆず
恋愛
わたしをイジメて、泣く姿を愉しんでいた皆さんへ。
さきほど偶然前世の記憶が蘇り、何もできずに怯えているわたしは居なくなったんですよ。
……覚悟してね? これから『あたし』がたっぷり、お礼をさせてもらうから。
※体調不良の影響でお返事ができないため、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じております。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる