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絡まる糸
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「ベル…なんであなたが……」
薔薇を受け取らないあたしをフンって笑った。
「セ…セシルの客なんだろ?副市長たちは俺が案内します」
クリックが空気を読んでか副市長たちを案内してくれた。
「セシルは相変わらず冷たいなぁ~僕たちは結婚を約束した言わば許婚じゃないか!」
そう言って肩に手を回された。
気持ち悪いから振り払ったらやれやれっていった態度を取られた。
「なにが許婚よ!とっくに断ったじゃない!それに帝国貴族のあなたがここにいるのがおかしい!!」
あたしが睨んで言い返した。
あたしはベルが嫌い。
17歳の時に貴族から結婚の話を申し込まれた。
しばらくしてお父さんが断ったけど、その息子にしつこく付き纏われてしばらく家から出ないでいたり、ルイの家に匿ってもらったりした。
そのしつこかった貴族の息子がベル。
だから本当は許婚でもなんでもないのにベルは勝手に許婚と言い続けた。
「おや、知りませんか?セシルが帝国を追われたと聞いて僕も来たんだよ?寂しかったでしょ?」
どこまでポジティブな人なんだ。
ゼシカもルイも引いているし。
アベルが船から下りたのを見てベルはアベルに近づいた。
「これはこれは!ハーン将軍の屋敷にいた素性も分からぬ卑しい身分の者が……今でもセシルに付き纏うんですか!セシルも哀れですね!」
アベルを馬鹿にするように言うベルにたいしてアベルは何も言わずにただ俯いて拳を堅く握りしめていた。
「セシルが纏ってるそのマント……あの男のですか?汚いから脱ぎなさい」
そう言ってアベルが貸してくれたマントを触った。
「触んないでよっ!!!」
あたしの声にベルは驚いていたがすぐに口元に笑みをたたえてあたしに告げた。
「セシルにはセシルの立場に相応しい人を側におきなさい。僕やハーン将軍の部下とわかるゼシカ嬢のように素性が知れた人を……ね?」
そう言って城に入ったベルをあたしやゼシカは睨んでいた。
「……相変わらずな人だな」
ルイが苦笑いで呟いたけどあたしはアベルを馬鹿にするベルが許せなかった。
何よりも反論する隙も与えない相手にアベルを擁護する言葉も言えない自分にも腹がたった。
マントをギュッと握りしめていたら肩を軽く押された。
「外は冷えますから身体に悪いです……早くアニエスさんたちに会いましょう」
アベルは変わらない笑顔を向けてあたしの身体を気遣ってくれた。
あたしが歩き出したら隣を一緒に歩いてくれた。
あたしが城内に入ると人々から歓声の声があがった。
薔薇を受け取らないあたしをフンって笑った。
「セ…セシルの客なんだろ?副市長たちは俺が案内します」
クリックが空気を読んでか副市長たちを案内してくれた。
「セシルは相変わらず冷たいなぁ~僕たちは結婚を約束した言わば許婚じゃないか!」
そう言って肩に手を回された。
気持ち悪いから振り払ったらやれやれっていった態度を取られた。
「なにが許婚よ!とっくに断ったじゃない!それに帝国貴族のあなたがここにいるのがおかしい!!」
あたしが睨んで言い返した。
あたしはベルが嫌い。
17歳の時に貴族から結婚の話を申し込まれた。
しばらくしてお父さんが断ったけど、その息子にしつこく付き纏われてしばらく家から出ないでいたり、ルイの家に匿ってもらったりした。
そのしつこかった貴族の息子がベル。
だから本当は許婚でもなんでもないのにベルは勝手に許婚と言い続けた。
「おや、知りませんか?セシルが帝国を追われたと聞いて僕も来たんだよ?寂しかったでしょ?」
どこまでポジティブな人なんだ。
ゼシカもルイも引いているし。
アベルが船から下りたのを見てベルはアベルに近づいた。
「これはこれは!ハーン将軍の屋敷にいた素性も分からぬ卑しい身分の者が……今でもセシルに付き纏うんですか!セシルも哀れですね!」
アベルを馬鹿にするように言うベルにたいしてアベルは何も言わずにただ俯いて拳を堅く握りしめていた。
「セシルが纏ってるそのマント……あの男のですか?汚いから脱ぎなさい」
そう言ってアベルが貸してくれたマントを触った。
「触んないでよっ!!!」
あたしの声にベルは驚いていたがすぐに口元に笑みをたたえてあたしに告げた。
「セシルにはセシルの立場に相応しい人を側におきなさい。僕やハーン将軍の部下とわかるゼシカ嬢のように素性が知れた人を……ね?」
そう言って城に入ったベルをあたしやゼシカは睨んでいた。
「……相変わらずな人だな」
ルイが苦笑いで呟いたけどあたしはアベルを馬鹿にするベルが許せなかった。
何よりも反論する隙も与えない相手にアベルを擁護する言葉も言えない自分にも腹がたった。
マントをギュッと握りしめていたら肩を軽く押された。
「外は冷えますから身体に悪いです……早くアニエスさんたちに会いましょう」
アベルは変わらない笑顔を向けてあたしの身体を気遣ってくれた。
あたしが歩き出したら隣を一緒に歩いてくれた。
あたしが城内に入ると人々から歓声の声があがった。
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