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作戦と誤算
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「それが策だとわかったら兵士は一気に奮起するぜ!だからセシル落ち込むなよ?」
クルーに慰められてとりあえず笑って返事した。
「アニエスさんから聞いた策は『火計』です」
「火計!ついにあの油を使うんだね!」
ロックライフ、ロックルックから運んできていた廃油。
マリー地方を解放してからは帝国は廃油精製機を両市に戻したらしいが、それまで拠点にはかなりの数の廃油が置いてあった。
「ドライ水上砦は内部にドライ湖の水が流れている砦です。先に油の入った壷を投げ入れて、火矢を放つそうです」
「…水門は?ドライ水上砦にドライ湖の水が流れているなら……入口があるなら出口があるでしょ?」
あたしの質問にクルーがニヒルな笑みを浮かべた。
「5,000しか兵士がいない砦だ。最初に弓矢で攻撃、その隙をついて俺の部隊から精鋭を連れて侵入して俺が閉める。俺が出てきたら油の入った壷を投げ入れて火矢を放つ」
確かに誰かが水門を閉めなきゃこの策は成り立たないだろう……。
「でも、かなり危険じゃない?そんな危ない橋を渡るなんて……」
「ムウだって頑張ってんだ!俺も頑張らなきゃいけねぇだろ?俺から志願したんだ」
クルー自らの志願ならあたしは止められない。
クルーは元々から根っからの戦士のようだからあたしが止めたってきかないだろうけど……。
「ムウ将軍から水上砦の全体図はもらっています。水上砦は小さな砦ですから、セシルさんが心配するようなとこはありませんよ」
サンが心中を察してかフォローしてくれた。
「で、あたしは?」
「セシルは……水上砦だと特に…ロック城で解放団の後ろを囲い、学院から来た帝国兵士と戦ってほしいわ」
「特にって……まぁあたしの部隊は騎馬隊だから仕方ないけどさぁ…ロック城包囲は前衛は歩兵かぁ…クルーの部隊連戦じゃん」
「余裕だって!ロック城では弓兵隊の半分は歩兵隊、騎馬隊に割り振るんだからさ!」
クルーが豪快に笑うからなんだか安心できた。
クルーに慰められてとりあえず笑って返事した。
「アニエスさんから聞いた策は『火計』です」
「火計!ついにあの油を使うんだね!」
ロックライフ、ロックルックから運んできていた廃油。
マリー地方を解放してからは帝国は廃油精製機を両市に戻したらしいが、それまで拠点にはかなりの数の廃油が置いてあった。
「ドライ水上砦は内部にドライ湖の水が流れている砦です。先に油の入った壷を投げ入れて、火矢を放つそうです」
「…水門は?ドライ水上砦にドライ湖の水が流れているなら……入口があるなら出口があるでしょ?」
あたしの質問にクルーがニヒルな笑みを浮かべた。
「5,000しか兵士がいない砦だ。最初に弓矢で攻撃、その隙をついて俺の部隊から精鋭を連れて侵入して俺が閉める。俺が出てきたら油の入った壷を投げ入れて火矢を放つ」
確かに誰かが水門を閉めなきゃこの策は成り立たないだろう……。
「でも、かなり危険じゃない?そんな危ない橋を渡るなんて……」
「ムウだって頑張ってんだ!俺も頑張らなきゃいけねぇだろ?俺から志願したんだ」
クルー自らの志願ならあたしは止められない。
クルーは元々から根っからの戦士のようだからあたしが止めたってきかないだろうけど……。
「ムウ将軍から水上砦の全体図はもらっています。水上砦は小さな砦ですから、セシルさんが心配するようなとこはありませんよ」
サンが心中を察してかフォローしてくれた。
「で、あたしは?」
「セシルは……水上砦だと特に…ロック城で解放団の後ろを囲い、学院から来た帝国兵士と戦ってほしいわ」
「特にって……まぁあたしの部隊は騎馬隊だから仕方ないけどさぁ…ロック城包囲は前衛は歩兵かぁ…クルーの部隊連戦じゃん」
「余裕だって!ロック城では弓兵隊の半分は歩兵隊、騎馬隊に割り振るんだからさ!」
クルーが豪快に笑うからなんだか安心できた。
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