悠久~version1:解放戦争

由奈(YUNA)

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決戦前

6

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アニエスには数日間会えなかったけど、医務室から自室に移動した時に会うことができた。


アニエスもあたしに話があるらしい。



「セシル殿……しばらく会えずすみませんでした」


部屋に入ってすぐに謝られたけど、アニエスは顔色も悪く、医療を知らない素人なあたしが見ても良くはない気がした。

ミリィの話だとそこまで重傷ではないと思ったのに……。


「まず、東から西へ繋がる関所は帝国が放棄したようで無人です。帝国は皇都での決戦をと考えているようです。
故に、次が最終決戦。負けた方が滅びます……。
こちらが私の考えた策になります。セシル殿確認を……」



そう言ってアニエスに渡された紙には作戦と詳細が書かれていた。


この戦いが終われば自由な世界になる。


前にルイ、ゼシカ、アベル、あたしが『4人で平和を目指す』といった話をしたけどここにルイの名前はない。
ルイはいないって改めて思い出してしまう。



「解放団にいる全兵士は東から、ロックライフ・ロックルックの義勇兵たちは西から皇都エリーザを目指します。後ろを狙われる心配がないため全兵士が一斉攻撃となります。
両軍かなりの死者も予想してください。セシル殿、よろしいですか?」



最終決戦だから帝国も必死だろう。

頷くあたしに満足したのかアニエスは笑顔を向けた。



「セシル殿にはこれまで辛く、厳しい戦いや思いをされたと思います……あと一息です。
私はセシル殿の隊につき前線で指揮をとります。体調を皆様気遣ってくださいますが、私もこの戦いを早期に終わらせ、自由な新しい世界を見たいのです。私の我が儘を認めてください」



アニエスらしからぬ言葉に驚いた。


厳しい言葉はたくさんもらった。あたしに対して1番叱咤激励したのはアニエスだった。そのアニエスの言葉に答えるべく、あたしは頷いた。


体調が万全じゃないアニエスを本当は前線に出したくないけど、戦争を終わらせたいというアニエスの願いをあたしも叶えたかった。

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