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CASE3 帰還
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――――――――――
――――――――――
風が、生ぬるい。
地面が、固い。
「ぁっ……うそ……」
目を開けると、見慣れた景色。
夜の、学校の、自転車置き場。
コンクリートで舗装された地面。
草の香り。
ここは、私たちの世界で、間違いない。
「あ!空!起きたね!」
「なぁ、井黒がいないんだけど……」
桃華と辛島くん……。
二人だけ。
やっぱり、アゲハは来てない……。
「アゲハ、は……アゲハがっ!」
言わなきゃいけないって分かるけど、認めたくないじゃん。
なんのために、私はユートピアに行ったの?
なんで、残るの?
どうして、言ってくれなかったの?
「アゲハ、は……帰って、こない……」
それしか言えなくて。
だけど、自分で認めちゃった。
アゲハは帰らない。
帰らないんだ。
「なんでっ、、、どーして……」
ボタボタと涙が地面に落ちて、消えた。
待っても待っても、アゲハは戻って来なかった。
**********
家に戻ったら、大変だった。
一人娘の失踪について親は泣くし怒るしだし、警察に行方不明で届け出てたみたいだし。
私はユートピアに1ヶ月以上行ってたのに帰ってきたら9日しか経ってないし。
『ユートピアにいました』なんて言えないしって事で「記憶がない」って言ったら入院させれたし。
アゲハのおばさんにも、私の事で心配をかけていたらしい。
「全く!ウチの娘は!」
「まぁまぁ、帰ってきて良かったじゃない。元気そうで良かったわね」
「検査も異常なくて良かったな!」
戻ってきてから1週間。
私の身体は何にも異常はないって事でめでたく退院。
異常なくて当然だけど。
本当は記憶にあるし。
全部、、、全部。
退院の日にはアゲハのおばさんとタイヨウさんも来てくれて、タイヨウさんの運転で帰宅。
おばさんもタイヨウさんも、笑顔が戻ったみたいで元気そうに見えた。
私の前だからかもしれないけど……アゲハが生きてるって……やっぱ言えないよね。
「退院祝いにどっか遊びに行く?」
「タイヨウさんの奢りでヨロシクです」
「よしキタ!任せろ!予定確認しておけよ!連絡するからな!」
今までが嘘みたいな平和な会話。
「ただいまー」
私が出ていったままの部屋。
部屋に置いたままのスマホと手紙。
【アゲハを探してきます】
アゲハを探して、見つからなかった。
そのショックで記憶を一部失ったのではないか。
空とアゲハは幼馴染みで、仲良かったから。
なんて理由で、片付けられた。
仲良かったなんて、小さい頃までの話。
小学校高学年くらいからはアゲハを避けた。
外で遊びたかったから。
アゲハに合わせた遊びじゃなくて、みんなと同じ遊びをしたかったから。
中学になるともっと距離はできたし、話す機会もかなり減った。
その頃から彼氏がいたし、キスもSEXも経験した。
アゲハといるのが苦痛だったのが中学時代。
アゲハは私を、小さい頃から変わらないままだって思っているから。
アゲハといるより部活を、彼氏を、友達を、選んだのは私。
高校は一定の距離を置くのを覚えた。
困ったようなら助けるけど……な、スタンスで。
だから、優先順位はアゲハは絶対に下。
彼氏は途切れずにいたし、化粧したり友達とカラオケしたり、遊んだり。そっちのが大事。
アゲハもその辺は分かっていたのかいい距離を保っていたね。
………つまりは、最低な奴なんだよ、私って。
自分のことばっかりで、アゲハの事、何も知ろうとしないで。
アゲハに友達がいないのも知ってたのに。
みんなと同じことができない事が辛いって事も知ってたのに。
いなくなってから、自分に必要なんだって気づいて。
見つかってから、やり直そうって思って。
だけど、やり直せなくて。
全て忘れるって約束、守るべきなのかな?
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風が、生ぬるい。
地面が、固い。
「ぁっ……うそ……」
目を開けると、見慣れた景色。
夜の、学校の、自転車置き場。
コンクリートで舗装された地面。
草の香り。
ここは、私たちの世界で、間違いない。
「あ!空!起きたね!」
「なぁ、井黒がいないんだけど……」
桃華と辛島くん……。
二人だけ。
やっぱり、アゲハは来てない……。
「アゲハ、は……アゲハがっ!」
言わなきゃいけないって分かるけど、認めたくないじゃん。
なんのために、私はユートピアに行ったの?
なんで、残るの?
どうして、言ってくれなかったの?
「アゲハ、は……帰って、こない……」
それしか言えなくて。
だけど、自分で認めちゃった。
アゲハは帰らない。
帰らないんだ。
「なんでっ、、、どーして……」
ボタボタと涙が地面に落ちて、消えた。
待っても待っても、アゲハは戻って来なかった。
**********
家に戻ったら、大変だった。
一人娘の失踪について親は泣くし怒るしだし、警察に行方不明で届け出てたみたいだし。
私はユートピアに1ヶ月以上行ってたのに帰ってきたら9日しか経ってないし。
『ユートピアにいました』なんて言えないしって事で「記憶がない」って言ったら入院させれたし。
アゲハのおばさんにも、私の事で心配をかけていたらしい。
「全く!ウチの娘は!」
「まぁまぁ、帰ってきて良かったじゃない。元気そうで良かったわね」
「検査も異常なくて良かったな!」
戻ってきてから1週間。
私の身体は何にも異常はないって事でめでたく退院。
異常なくて当然だけど。
本当は記憶にあるし。
全部、、、全部。
退院の日にはアゲハのおばさんとタイヨウさんも来てくれて、タイヨウさんの運転で帰宅。
おばさんもタイヨウさんも、笑顔が戻ったみたいで元気そうに見えた。
私の前だからかもしれないけど……アゲハが生きてるって……やっぱ言えないよね。
「退院祝いにどっか遊びに行く?」
「タイヨウさんの奢りでヨロシクです」
「よしキタ!任せろ!予定確認しておけよ!連絡するからな!」
今までが嘘みたいな平和な会話。
「ただいまー」
私が出ていったままの部屋。
部屋に置いたままのスマホと手紙。
【アゲハを探してきます】
アゲハを探して、見つからなかった。
そのショックで記憶を一部失ったのではないか。
空とアゲハは幼馴染みで、仲良かったから。
なんて理由で、片付けられた。
仲良かったなんて、小さい頃までの話。
小学校高学年くらいからはアゲハを避けた。
外で遊びたかったから。
アゲハに合わせた遊びじゃなくて、みんなと同じ遊びをしたかったから。
中学になるともっと距離はできたし、話す機会もかなり減った。
その頃から彼氏がいたし、キスもSEXも経験した。
アゲハといるのが苦痛だったのが中学時代。
アゲハは私を、小さい頃から変わらないままだって思っているから。
アゲハといるより部活を、彼氏を、友達を、選んだのは私。
高校は一定の距離を置くのを覚えた。
困ったようなら助けるけど……な、スタンスで。
だから、優先順位はアゲハは絶対に下。
彼氏は途切れずにいたし、化粧したり友達とカラオケしたり、遊んだり。そっちのが大事。
アゲハもその辺は分かっていたのかいい距離を保っていたね。
………つまりは、最低な奴なんだよ、私って。
自分のことばっかりで、アゲハの事、何も知ろうとしないで。
アゲハに友達がいないのも知ってたのに。
みんなと同じことができない事が辛いって事も知ってたのに。
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だけど、やり直せなくて。
全て忘れるって約束、守るべきなのかな?
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