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CASE5 武器と魔法

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「もう大丈夫だから部屋に戻ってって」

「でも…」

「毎日夜に俺の部屋にいるのは、さすがに何もなくても体裁が悪いって」

「絶対今日は寝れなくない?」

「寝るって!心配しすぎ。シンクロ使いすぎて疲れてるくらいだから。本当に駄目だって思ったら空の部屋に行くから」


しばらくしてから、ずいぶん遅くまで話したからそろそろ寝ようかって話になって

一人にしたくなくて今日もここで寝るって言ったら拒否られた。

別に私はソファでも床でもいいって言っても駄目だって。

何度言ってもアゲハは折れなくて、結局私が根負けした。


「おやすみ。また明日ね」

「うん、おやすみ、空」



絶対に寝ない。

もし、寝たとしてもうなされるはず。


そう思ってしばらくドアの前で待っていたけど何も物音が聞こえなかったから戻ってベッドに潜り込んだ。



絶対、絶対

大丈夫な訳ないのに。

どうしても、説得するのは無理だった。


アゲハが私の部屋に来ることはないと思う。

なんとなく、そんな気がする。


他人の家で男女が一緒に寝てるって、確かに悪いけどさ。

わかってるけど……

駄目だ、どうしていいか分からない。



結局、すぐに寝るのは無理で

だけど気づいたら寝てて、桃華に起こされるまで爆睡してた。


「空寝過ぎだって!レオンに起こしてこいって言われたんだからね!」

「ホントごめんっ!」

二人で話ながらリビングに入ると寝坊した事をレオンに笑われた。

……昨日の事はどーした?

夢だったのか?

ってくらい普通に話し掛けてくるのが信じられない。


ただ、あからさまにゼロさんとスーは不機嫌だから、和解はしてないって一目瞭然だった。

ついでにアゲハも、普通なようで口数は少ないし顔色は微妙だし朝食も全然食べてない。



「空は今日もシンクロの練習するよね?」

「やるよ。桃華もやるでしょ?」

「やるやる!ルーラにね、見込みあるって言われたよ!」

桃華はシンクロの練習が楽しいらしい。

前に言ってたカメハメ波とか打てる予感らしい。

ようは水をふっ飛ばすらしいけど。

桃華が楽しそうならちょっとホッとする。


「ルーラ、私は?」

「ソラは未知数だから……今日はエドガーが相手するって朝から張り切っていたよ?」


ルーラに名前を出されたエドガーはキラキラした目で私を見てるし……。

いや、だから、昨日の事は?

私、結構嫌な印象に変わったよ?上の四人が。


ボッコボコにしてやりたいな…。

今の私じゃできないって分かってるけど。


「ソラ、頑張ろうな!」

「ヨロシク、お願い…しまーす……」


ふいっと視線をそらしてパンに手を伸ばした。


「空、エドガーさんと何かあった?」

「いや?別に??」

「すっごい不自然だったよ?」


桃華にはさすがに理由は言えないな。

ごめんね?


「桃華さん、シンクロのコツを教えてください」

「気合いだよ、気合い!」


全然参考にならないアドバイスを貰って


理由は特にないけど、今日も頑張ろうって気持ちになれた。



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