理想郷 - 私と幼馴染みの異世界物語 -

由奈(YUNA)

文字の大きさ
95 / 342
CASE6 新人類開発施設

5

しおりを挟む
布はここに住む人からいらない布を貰って縫い合わせたし、結ぶための紐は持ってきた荷物にいい感じのがあった。

だから、簡単に目隠しを作って、それから私が使う部屋にあったスタンドタイプの照明を持ってきて設置した。

スーからも「持ってっちゃえ!」って後押しされたしね。


「これでちょっとはマシじゃない?」

「うん……あ、言っておくけど、俺の扱いに俺自身不満はないよ?仕方ないし、、それに、全員から嫌われてる訳じゃないし……」


そう言った直後、勢いよく扉を開ける音がして、振り向いたらゼロさん。

手には、布団?


「これ使え。お前まだ病人だから」


投げつけるようにアゲハに渡したけどさ、、、ゼロさんって素直じゃないね。


「病人じゃないよ?」

「本調子じゃない」

「まぁ、、否定はしない」


そう言ったアゲハも楽しそうだったから、たぶん私と同じことを思ったんだろうね。


「じゃ、俺は寝る」

「うん、おやすみ」


ゼロさんは何事もなかったかのように出ていったけど、そうか、もうそんな時間かぁ。。。


「空も、早く戻りなさーい」

「うーん………」


背中をグイグイ押されて追い出されたけど、釈然としない感じ。


そのままスーがいる部屋に戻ったらゼロさんがいたし。


「ソラちゃん!?アゲくん放ったらかし!?」


スーがビックリしてるけど、、、だよねー。

やっぱり、一人であんな場所に居させるの、良くないよね。


「ほらね!あたしが言った通り!絶対にアゲくん強がるって!」

「スーに言われるまでもねぇが……コイツ追い出したのはちょっと意外だった」


そう言ったゼロさんは立ち上がって部屋を出ていった。


「さぁ!ソラちゃん!支度支度~」

「えっ?えーっ!?」


訳が分からないまま手渡されたのは布団と毛布。

そのまま私とスーとゼロさんで再びアゲハのいる所に行った。


ベッドの上で膝を抱えて座っていたアゲハは私たちの登場にビックリしてた。


「今日はここで雑魚寝~!結構広いし余裕だね!」

スーはさっさと布団を敷き直してもう横になってるし、、、


「えーっと、いいよね?」

一応、アゲハに確認。

その間もゼロさんもさっさと布団を敷いて、私の布団まで敷くために奪われた。

部屋の主の許可はいいのか、この人たちは……。


「、、、いいよ。スーが絡むと止まんないもん。仕方ないね」


言葉とは裏腹に嬉しそうな様子だったから良かった。



それからすぐに、スーとゼロさんは寝たっぽいけど私は寝れなくて。

目を瞑って静かにしていたけど、全く眠れない。


「空、起きてる?」

小さい声でアゲハに呼ばれたから起き上がった。

「全然、寝れない」

「俺も一緒。ちょっと部屋から出ようか?」


夜だし、色々といいのかな?って思ったけど頷いてから起き上がった。

……暗闇の中、頷いたのって分かったのかな?


廊下に出ると暗いし静まり返っていたけど、アゲハのシルエットは分かる。

隣の部屋…私が使う用に言われた部屋を指差したから頷いたらドアを開けた。



「気を張りすぎたのか眠れないよ」

部屋の電気を付けたらすぐにそう言って頭を抱えたアゲハ。


「やっぱり、、、気まずい?」

「本当はね……かなり気まずい」


ははって力なく笑うから、、、

どうしたらいいんだろう、私。


「この部屋はドアはあるし大声をあげなきゃ外に声は漏れないから言うけど……」


アゲハはもっと小声で呟いた。


「あそこにいると、必ず誰か監視に来る。俺の存在が怖いか不安なんだろうけど……結構見張られるのは落ち着かない」

「ニャンさんにチクる?私言うよ?」

「駄目だよ。俺たちレジスタンスを匿ってくれる人たちでもあるんだから」


と、言われても、、、

なんか、複雑。


私がはじめて出会ったこの世界の人々。

みんな、すごく良くしてくれたし、私はみんなが好きなのに、、、


アゲハは、事情があったとしても敵対した人物だから、受け入れてもらえないなんて……。


「前回は絶不調だったから辺りを気にする余裕もなかった。今は余裕があるから気まずいって感じるんだと思うと、だいぶ自分は回復したって実感できるよ」

「めちゃめちゃ前向きな発言だけど……でも良かったよ。アゲハが元気になってきているなら、、、再会してから全然日数経ってないのに……もうかなり経った気分」

「分かる!俺もそうだよ!毎日が濃いんだもん」


そう言ってからようやく笑顔になった。


「向こうにいた時より、、、今のが充実してる感じ」

嬉しそうに言う言葉がドキッとした。


アゲハは、もしかしたら、、、



帰りたく……ないのかもしれないね。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません

ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。 文化が違う? 慣れてます。 命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。 NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。 いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。 スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。 今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。 「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」 ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。 そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...