上 下
97 / 342
CASE6 新人類開発施設

7

しおりを挟む
ジェスさんに悪気はないと言われても、、、信じられないくらい文句言われていましたよ、私。

しかも私が気にしてる貧乳とか貧乳とか貧乳とか……。


それからもジェスさんが美について語ってるけど、もう誰も聞く気はないって様子。

ジェスさんはナルシストとは聞いていたけど……思っていたのとは全く違かった。


「はい、話戻すよ。まずは目下の話。俺たちの目的は花将軍の“新人類開発施設”の破壊」

そう言ったアゲハはテーブルに6枚の絵を並べた。

花将軍の城らしい。


私たちがいる場所は朝食を食べた場所、、、大広間だったから必然的に人は多くて、その場にいるみんながアゲハの描いた絵を見ていた。


「大体、記憶にある建物の内部を描いてみた。城は5階建て。1階の入り口から上階へ繋がる階段は一番遠い場所にある。1階はほぼエントランス」

ペンで入り口とかの位置を指して教えてくれるけど、広さがイマイチ分からないよね。


「新人類開発施設は最上階5階。そこまでは階段で一気に駆け抜けたい。できるだけ無駄な戦闘はしたくない」

「いや、無理だろ。花将軍の不在を狙うとはいえ、花将軍に忠実な新人類や奴隷がいる」

ゼロさんがすかさず口を挟んだけど、私もそう思う。

邪魔は、必ずされる。

だって私たちは侵入者なんだから。


「奴隷はそこまで忠実じゃないし、花将軍は強い奴隷が少ない……強い人は新人類にしようとするからね」

「じゃあ新人類は結構な強さって事?」

核あるんだし、人の形を保ててるなら……。


「うん。少なく見積もっても10人はいるかもね。まぁ俺が核の位置を教えるからみんなはそこを狙ってよ。操られている新人類は核を守るまではプログラムされていないから」

さらっと言ったけど、つまりは人を殺すんだよね?

蟲とか獣も元は人だから、すでに人を殺してるとも言えなくもないけど、、、


そんな私に気づいたのか、アゲハは困った顔をして私を見ていた。


「新人類になった時点で元に戻るのは不可能だから。操られて殺戮マシーンになるよりも死なせてあげた方がその人のためだよ」

「でも……アゲハは自我を取り戻せたよ?」

「俺は異界人だし、、、あの時の傷は致命傷だったからじゃないかな?少なくとも俺は自分で自分を止めれなかったし、人殺しをしたくはなかった。もし、また花将軍に操られるような事になったら、、、俺は死ぬことを望むよ」


アゲハに、こんな言葉、言わせたかったんじゃない。



「わぁお!ソラちゃんなかなか強かったんだ……アゲくんに致命傷負わせたとは、なかなか侮れないねぇ」

「あのバー……ニャンサンとルーラがいなかったら今は墓の中だったな。残念だったな、永遠に休めなくて」


スーもゼロさんも……。

今のしんみりした会話を聞いてよく言えるよね……。


でも、二人があんまり深刻そうに言わないでくれるから、それはそれで良かったかも。


「まぁとにかく、新人類にも気を付けたいけど、花将軍が持っている新人類の一部は自分の旅のお供として連れ出すから数は少ないはず。奴隷の足止めも俺かスーの魔法で階段をふさげば奴隷は上へあがってはこれない。で、問題は最上階」


アゲハが出した絵は他の4階までの絵とは何か違っていた。

だって、この階の説明だけ絵が2枚。


「なんで2枚なの?」

「さっきまでのと縮尺は同じに書いてる。でも2枚ある。意味分かるかな?」


このアゲハからのなぞなぞ、分かるわけないじゃん。


「つまり、俺の出番、って訳か……。だからアゲハくんは俺を呼んだ。俺の美しい魔法を披露するために」

「……………うん、まぁ、そんな感じ。ジェスの“空間”が必要なんだ。空は知らないから教えるけど、ジェスは“空間”の魔法を使える空間使いなんだよ」


空間?

空間って……漠然としすぎて分からないけど……。

いや、何よりね、、

空間って…美しい魔法なの?


しおりを挟む

処理中です...