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CASE10 傷痕
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エナメの町に着いて、走ってレオンの店まで向かった。
今日の夜は寒くて、風も強い。
なんか、嫌な夜。
背中は痛み止めを打ってもらったから走れたけど、やっぱりちょっと熱っぽい。
レオンの店に着いたときには私の顔がだいぶ赤かったみたいでエドガーは心配してくれた。
だけど……それよりアゲハだよ、、
レオンが玄関を開けると最後に出た日のまま。
薬草の香りがする店舗の奥
リビングに着いたけど真っ暗だし静か…。
「上……も、静かだな」
シンとした部屋の中で、そんなレオンの声が響いた。
三人と一緒に階段を昇って右端の部屋。
アゲハの部屋
目の前に来たら、何かが、聞こえた―――――
ドアを勢いよく開けたら、真っ暗な部屋のベッドの上に、、うずくまる人影。
レオンが部屋に入って電気を点けて
私は、言葉が出なかった。
「アゲハ!!?何したんだ!!!」
エドガーが声をあげてベッドに近づいたんだけど……
血塗れのベッドの上で、アゲハが震えながら丸まっていた―――――
血で真っ赤な右手には何かを握っていて、床には血がついたナイフ。
どう見ても、、右脇腹から血がすごい出てる……
こんなに血が出て……大丈夫、、なの?
人って、どれだけ、血を流して大丈夫?
考えたら怖くて
足がすくんでて、前にいけない。
「馬鹿かお前は!!!自分で取り出してんじゃねーよっ!!!」
レオンが怒鳴りながらアゲハの手から取ったのは、血がべったりついた種。
桃より小さくて、柿の種くらいの大きさだった。
つまり……床に落ちてるナイフで自分のお腹を切って、自分の手で、取り出したの?
「ごめ……なさ、い……すぐ、で、ていく……」
アゲハには意識があったみたいで
そう言って起き上がろうとした。
「無理に動くな!!」
エドガーがすぐに止めたけど、アゲハは虚ろな目をしたまま起き上がろうともがいていた。
「ぁ……あの、ひと、が、、来る……から、、で、て、いかないと」
うわ言を言いながら起き上がろうとするのをやめなくて、エドガーが傷口を押さえながらずっと「大人しくしなさい」って声をかけ続けていた。
「ふざけるな……こんなお前を放っておくほど冷酷な人間じゃねーよ」
そう言ったレオンは部屋から出たから、肩をつかんでゼロさんが止めた。
「医者、呼んでくる」
「……アテがあるのか?」
「明確な返事を貰ってないが……無理だったら脅してでも引っ張って連れてくる」
レオンは走って階段を駆け降りて、玄関のドアが乱暴に閉まる音が二階まで聞こえた。
「ソラ、救急箱とかはこの家にあるかな?あと、掛け布団……余りはあるかな?」
エドガーが優しく冷静に声をかけてくれるから
私は少し落ち着けて、頷いた。
「ゼロと一緒に用意して?」
エドガーの指示に従って、予備の掛け布団はゼロさんにとってもらって、私は一階から薬箱を持って再び二回に上がった。
薬箱には一般的な傷薬とかガーゼとか絆創膏、市販の解熱剤とかは揃ってる。
エドガーはそこからガーゼを取り出してアゲハの傷を押さえたけど、すぐに血で真っ赤になっていた。
アゲハはもう動く元気もないみたいで……血塗れのベッドの上でぐったりしている。
床に落ちていたナイフは拾って拭いて、机の引き出しが開けっぱなしだったからそこにしまった。
馬鹿だよ
本当に、馬鹿。
昔から一人でなんでも抱え込んで
一人でなんでもやろうとして
一人じゃできない事もあるのにね。
なんで、全部一人で抱え込むんだろうね?
アゲハの手を両手で握りながらずっと祈っていた。
部屋の中に重い空気で流れる中
再び部屋のドアが開いて、レオンが戻ってきた。
知らないおじいさんを連れて。
走って戻ってきたのか、レオンもおじいさんも息が上がってたけど、二人ともすぐにアゲハに近づいた。
おじいさんは白衣を着ているから絶対にお医者さん。
お医者さんの邪魔したら悪いと思って、手を離して少し離れた位置に行ったとき
アゲハは再び目を開いた………
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