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CASE10 傷痕

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「いりゃいいじゃん、ここに。ここはお前とレオンが店やってる場所なんだし」


ゼロさんがそう言ってもアゲハは首を横に振っていた。


「ここに、長くはいられない……」


「なんで?」


「だって………レジスタンスじゃ、ない」


そう言ってから自分の腕をグッと掴んだ。


「ずっと、、俺は救済者だよ………ずっと、、あの女の、奴隷だよ」


「ふざけるな、お前はレジスタンスだろ?寝言言ってんじゃねーよ」


さっきからめちゃめちゃレスポンス早くゼロさんが喋るから誰も口を挟めないよ。


「違うよ、消したって変わらないって……あの女は、俺を、、逃がしたりしない。絶対に、連れ戻される……」


そう言ったアゲハは耳を塞いで震えながら俯いた。


「俺は救済者だって!奴隷だって!あの女の所有物だって!逃がさないって!!声が頭から消えないんだよっ!!!
見つかったらみんなは殺される!!俺に関わる人は殺される!!俺がいていい場所じゃない!!!」


耳を塞いで叫んだ言葉は

ずっとアゲハを縛りつけている言葉。


違うっていくら私が言ってもアゲハには届かない気がした。


その時、ゼロさんが勢いよく立ち上がってアゲハの真横に行って

強引に、片腕を耳から外した。



「声が聞こえるならそれよりでかい声で言ってやるよ!!!!お前はレジスタンスで俺たちの仲間だってなっ!!!!!
それに、俺たちが簡単に殺られるワケねーだろっ!!!!返り討ちにしてやるってんだよ!!!!お前の居場所は俺らのところだ!!!!!」



ゼロさんの声があまりに煩くて、、私もレオンもエドガーも耳を塞いだ。


や……言いたい気持ちは分かるよ?

私も同じ気持ちだけど……。

耳痛いって。


アゲハもビックリした様子で、ゼロさんは叫びすぎたのかハァハァ息切れしているし。


「アゲハが行きたいなら救済者のトコ行けばいい。でも違うなら……俺らといたいって思うならっ!このままでいいだろ!!?」


「救済者のところ……行きたくない、、けど、、」


「“けど”とか言うな!!行きたくないなら行かなきゃいい!!!ったく、そんだけの話を悩むんじゃねーよ」


アゲハの隣で、ゼロさんが座り込んだ。

叫びすぎて疲れたって様子で、すごい珍しいものを見ている気がする。



「シブキみたいに……俺のせいで誰かが死ぬのは、もういやだ……」


「だからっ!だったらシブキに助けてもらった命を大事にしろ!」


「もう、、戦いたくない………レジスタンスにいる意味が、ない」


「意味とか知らねーよ!戦わなくてもいいからレジスタンスにいろ。レオンとエドガーを止められるヤツがいなすきて困ってんだよ。ギルバートも大概だしな」


「でも……、」


「“でも”じゃねぇって!俺がいろって言ったんだから、いればいいだけだろ!?」


「………いいの、かな?俺、救済者として、、人を傷つけること、たくさんした……と、思う」


「じゃあ『ごめんなさい』って謝って許しを乞えばいいだけだって。あんま難しく考えるなよ」


アゲハとゼロさん

最初見たときはゼロさんが嫌ってる?って思ったんだけど……違ったね。


ゼロさん、アゲハが大好きなんだね。



「で?アゲハの返事!!お前はどうしたいんだよ!?」


ゼロさんが再び立ち上がってアゲハを見下ろしていると

アゲハは顔をあげて泣きながらゼロさんを見た。




「みんなと一緒に……いたいです、」





「その返事以外、俺は認めねぇよ。おかえり、アゲハ」


ゼロさんが優しく笑いなからポンと頭を軽く叩いたら


アゲハは声をあげて泣いた。
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