理想郷 - 私と幼馴染みの異世界物語 -

由奈(YUNA)

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CASE10 傷痕

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それから、、ギルバートさんはアゲハの顔色が悪いって言って、アゲハを無理矢理ベッドに寝かせた。


顔色が悪いのってたぶん寝てないせいだろうから……ベッドに入った今、絶対に寝落ちすると思う。


ギルバートさんとレオンとミオがベッドの空いているところに座って、エドガーも部屋にある椅子に座った。

ただ、ランさんは部屋に入らずに一階に戻ったから……気になって私とゼロさんは一階に降りた。


ランさんは降りてきた私たちに気づいて、そして、リビングの椅子に座った。



「ラン、終止スゲー顔してたな。どうかしたのか?」


ランさんと向かい合うようにゼロさんが座って、その隣に私が座ったんだけど……

ゼロさんって、自分よりかなり年上の人にも呼び捨てタメ口なんだね。


いいのか、これ??



「……私のせいかと思っただけだ」


「………は?意味わかんねぇよ」


ゼロさんは全く意味が分からないって様子だけど……

私は、思い当たるフシがある。


ランさんとアゲハが交わした最後の言葉。

アゲハを兵器だって、言ったのはランさん。


「あの者に……余計な事を言ったのが今でも縛り付けていたようだって話だ」


ランさんもランさんで明確な言葉を避けているからゼロさんは分かんないみたい。


はぁってため息を吐く姿も、アゲハに対して敵意がない姿もランさんじゃないみたい。


「とりあえず……まぁ、、驚いた。アンタがアゲハに対して罪悪感を感じるとか、今までありえない話だからな」


「まぁ…私はただ、、得体が知れぬ者は信用しないだけだ。だが、まぁ、、異世界の者と話す機会もあり、、色々知ったからな……」


ランさんと話した異界人って、、桃華だよね?

え、、ランさんの態度が変わったのって、、桃華のおかげ??


「桃華……すごいなぁ、」


ポツリと私が呟いたら、ランさんが私を見て頷いた。


「あの娘は凄い娘だ」


たぶんね、

私とランさんの“すごい”の意味はちょっと違うと思う。


桃華って誰にも物怖じしなくて凄いし、パワフルなのも凄い。


それからランさんはテーブルにひとつの小さな容器を置いた。

前に私が預かった薬と似た容器。



「足りなければ使え」


ぶっきらぼうに言ったけど、これ、高価な物なんだよね?

良いのかな?簡単に預かっちゃって……。


「いいんですか?もう作れない薬なんじゃ…??」


受け取るのを躊躇って聞いたけど

ランさんは優しい顔で薬と私を見ていた。


「あの者が……アゲハはこの薬を使っていると聞いた。役に立つなら使え」


別人のように優しいランさん。

きっと、信頼を寄せている人にはこういう態度なんだろうね。


今日はじめて、ランさんとたくさん話したよ。




**********





ランさんからは、今のみんなの状況を聞いた。


みんなはヒズィに滞在してて、砂に埋まった井戸を掘っているって。

ようは水問題の解決のためだけど、なかなか難航しているらしい。


あと、ずっとニャンさんのところにいたアイリーンさんはバルバドールに戻るって。


「バルバドールについてはあの異界人……リョウに知られていなかったようだからな」


ランさんはさらっと言ったけど、、

リョウくん……どうしているのかな??

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