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1:バースでの新生活
1:ドルミカ王国にて
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「畜生!うまく行くと思ったのに!」
テーブルをガンと強く男が叩く。
ドルミカ王国の王都の貴族の館に5人の男が集まっている。使用人には、呼ぶまで入ってこないように言ってある。4人がテーブルを囲み酒を呑みながら話すのを少し離れたところで、一人だけ、窓の外を見ながら足を組んで椅子に座っている。
「まったくだ。完璧な計画だと思っていたのにこんな事になるとは!」
もう一人の男が、ワインをグラスに自分で注いでぐいとのむ。
「ローヌ王国から外交ルートで抗議文がきている。ふん、今頃、本来なら、王太子を亡くして混乱しているところに一気に攻撃をかけるつもりだったのに全ての計画が水の泡だ」
肥った男がため息をつきながら首を振る。
「これもそれも、第二騎士団が同行するとは予測していなかったことが原因だ」
「いや、それだけではない、うちの兵士が自分たちが陽動だとバラしてしまったのが問題だ」
顔色の悪い痩せた男がため息をつきながら言う。
「それもそうだが、王太子襲撃の場所が把握されたのも手痛かったぞ」
「全くもって腹立たしい。そもそも、どうも女の治療師が捕虜に薬を恵んだのにほだされて兵士が喋ったらしい。」
「ふん、薬だったのか。色気の間違いじゃないのか。男が、女にほだされるなんて一つしかないからな」
「いやいや、その女はあのアーサー イーズスの婚約者らしいぞ。全く余計な事を」
4人の男たちはそれぞれ悪し様に言う。
「ルーク殿、なんとか言ったらどうだ。貴殿の計画が結局うまくいかなかったのだからな」
ルークと声をかけられた男が皆の方を向く。プラチナブロンドにやや黒みの強い青い目をした男が微笑みながら足を組む。
「もともと、この計画をお伝えしたときに、うまく行く確率は70%とお伝えしたはずですよ。ただ、失敗しても、当方にはそれほど痛手にならない方法とお伝えもしたはずですが?」
「わかっている。しかし悔しい事には変わらん」
肥った男が答える。
「しかも、せっかくこちらの言うなりになったゲルトランまで逮捕されてしまった」
顔色の悪い男が、
「王都新聞を読んだか?そもそも、ゲルトランのやつ、土砂崩れで後を継いだと聞いていたが、本当はあいつが前の子爵夫妻を殺したんだそうだ」
と話すと、
その話にルークと呼ばれた男がピクッと動く。
「ゲルトランが、ケント子爵の後を継いだのは聞いていましたが、彼が前の子爵夫妻を殺したとは。初耳です。本当のことですか?」
「これを読め。ちょうど、今届いたばかりだ。それによると6年前、ゲルトランは土砂崩れを起こして、ケント夫妻を殺し、その子供二人も殺そうとしたようだ。しかしこの二人はなんとか逃げて今回の裁判で、ゲルトランの罪を暴いたそうだ。しかも、さっき言っていた女の治療師は、この子供の一人のようだぞ」
「貸してください」
ルークが新聞を読む・・
読んでいる間に、
「本当に腹立たしい」
「いっそ、この女を見せしめに殺すか」
と話していると、くしゃっと音がする。
見るとルークが新聞を握りつぶしている。
「る、ルーク殿?」
気が付いたルークは、また貴族らしい微笑みを浮かべたと思ったら
「失礼しました。ずいぶん不愉快な内容だったのでね」
と返事する。
そして、皆に微笑みながら、
「私が良い案を考えます。私に当分任せてもらえますか?まあ、ローヌ王国がドルミカに何か行動を起こしたとしたら、それはそちらにお任せしますが、それ以外について、少し計画を練りましょう。調査しなくてはいけないので時間はかかりますがね」
皆はホッとする。今回のことはうまくいかなかったが、今までルークに任せることで多くの計画がうまく実行されてきた。
「では任せたぞ、」
「はい、お任せください」
ルークは貴族らしい笑顔で返したのだった
その晩、ルークは一人ワインを傾ける。
「ロバート、アデリーナ、てっきり事故で死んだのだと思っていたよ。よもやゲルトランに殺されていたとはな。ははは、ロバート、自業自得だな。あのゲルトランにやられるとは、間抜けにもほどがある。ふん、キャロラインのせいで情にほだされたか。ばかなやつだ。アデリーナ、ロバートなんかと結婚したからだよ。ロバートを殺して悲しむ君を奪う、私の夢が消えてしまったと思っていたが・・新しい楽しみができたようだ・・」
テーブルをガンと強く男が叩く。
ドルミカ王国の王都の貴族の館に5人の男が集まっている。使用人には、呼ぶまで入ってこないように言ってある。4人がテーブルを囲み酒を呑みながら話すのを少し離れたところで、一人だけ、窓の外を見ながら足を組んで椅子に座っている。
「まったくだ。完璧な計画だと思っていたのにこんな事になるとは!」
もう一人の男が、ワインをグラスに自分で注いでぐいとのむ。
「ローヌ王国から外交ルートで抗議文がきている。ふん、今頃、本来なら、王太子を亡くして混乱しているところに一気に攻撃をかけるつもりだったのに全ての計画が水の泡だ」
肥った男がため息をつきながら首を振る。
「これもそれも、第二騎士団が同行するとは予測していなかったことが原因だ」
「いや、それだけではない、うちの兵士が自分たちが陽動だとバラしてしまったのが問題だ」
顔色の悪い痩せた男がため息をつきながら言う。
「それもそうだが、王太子襲撃の場所が把握されたのも手痛かったぞ」
「全くもって腹立たしい。そもそも、どうも女の治療師が捕虜に薬を恵んだのにほだされて兵士が喋ったらしい。」
「ふん、薬だったのか。色気の間違いじゃないのか。男が、女にほだされるなんて一つしかないからな」
「いやいや、その女はあのアーサー イーズスの婚約者らしいぞ。全く余計な事を」
4人の男たちはそれぞれ悪し様に言う。
「ルーク殿、なんとか言ったらどうだ。貴殿の計画が結局うまくいかなかったのだからな」
ルークと声をかけられた男が皆の方を向く。プラチナブロンドにやや黒みの強い青い目をした男が微笑みながら足を組む。
「もともと、この計画をお伝えしたときに、うまく行く確率は70%とお伝えしたはずですよ。ただ、失敗しても、当方にはそれほど痛手にならない方法とお伝えもしたはずですが?」
「わかっている。しかし悔しい事には変わらん」
肥った男が答える。
「しかも、せっかくこちらの言うなりになったゲルトランまで逮捕されてしまった」
顔色の悪い男が、
「王都新聞を読んだか?そもそも、ゲルトランのやつ、土砂崩れで後を継いだと聞いていたが、本当はあいつが前の子爵夫妻を殺したんだそうだ」
と話すと、
その話にルークと呼ばれた男がピクッと動く。
「ゲルトランが、ケント子爵の後を継いだのは聞いていましたが、彼が前の子爵夫妻を殺したとは。初耳です。本当のことですか?」
「これを読め。ちょうど、今届いたばかりだ。それによると6年前、ゲルトランは土砂崩れを起こして、ケント夫妻を殺し、その子供二人も殺そうとしたようだ。しかしこの二人はなんとか逃げて今回の裁判で、ゲルトランの罪を暴いたそうだ。しかも、さっき言っていた女の治療師は、この子供の一人のようだぞ」
「貸してください」
ルークが新聞を読む・・
読んでいる間に、
「本当に腹立たしい」
「いっそ、この女を見せしめに殺すか」
と話していると、くしゃっと音がする。
見るとルークが新聞を握りつぶしている。
「る、ルーク殿?」
気が付いたルークは、また貴族らしい微笑みを浮かべたと思ったら
「失礼しました。ずいぶん不愉快な内容だったのでね」
と返事する。
そして、皆に微笑みながら、
「私が良い案を考えます。私に当分任せてもらえますか?まあ、ローヌ王国がドルミカに何か行動を起こしたとしたら、それはそちらにお任せしますが、それ以外について、少し計画を練りましょう。調査しなくてはいけないので時間はかかりますがね」
皆はホッとする。今回のことはうまくいかなかったが、今までルークに任せることで多くの計画がうまく実行されてきた。
「では任せたぞ、」
「はい、お任せください」
ルークは貴族らしい笑顔で返したのだった
その晩、ルークは一人ワインを傾ける。
「ロバート、アデリーナ、てっきり事故で死んだのだと思っていたよ。よもやゲルトランに殺されていたとはな。ははは、ロバート、自業自得だな。あのゲルトランにやられるとは、間抜けにもほどがある。ふん、キャロラインのせいで情にほだされたか。ばかなやつだ。アデリーナ、ロバートなんかと結婚したからだよ。ロバートを殺して悲しむ君を奪う、私の夢が消えてしまったと思っていたが・・新しい楽しみができたようだ・・」
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