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1:バースでの新生活
2:騎士団にて
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アーサーは侯爵家でシャーロットと幸せな時間を過ごした後、侯爵家を後ろ髪引かれる想いで出発し騎士団に向かった。オスカーも当然一緒である。
1ヶ月の休みに数日残っているものの、仕事は山積しているはずである。特に、父親の騎士団総団長のことを考えると申し訳ない気持ちでいっぱいである。
騎士団にもどり総団長室に向かう。途中で、
「よお、ようやく戻ってきたな、この色男、さっそく、婚約したとは許せん。俺様が独身というのに遠慮というもんが無いのかよ」
と後ろから第四騎士団長のアスコットが首に腕を巻きつけてくる。
腕を軽く剥がしながら、
「勘弁してください、これから、総団長室に行かなくてはならないのですから。」
と答えると、アスコットが、
「まあ、仕方ねーな、忠告しておいてやる。総団長の機嫌は非常に悪い時と良い時のアップダウンが激しい。しかもお前さんの残した仕事の上にドルミカのことや、王室の後継者問題など、山積みだ。憔悴しきりだ。
何が地雷なのかもはっきりせずみんなハラハラしている。
ちょうどお前が帰ってきてくれて良かった。原因を探ってほしいし、解決策も考えてくれ。」
と話してくれた。
父上の機嫌のアップダウン?そんなのは、母上以外には考えられないが、今日会った時の母上のすこぶる機嫌の良さを考えるとそんなに機嫌が悪くなることがあるんだろうか。
不思議に思いながら、
「失礼します。アーサーイーズス入ります」
と入室する。
「え? エリザベスが、ですか? しかもゼオン侯爵と、ですか? そんなわけないでしょう?あんなお転婆娘と侯爵、ほかの侯爵の間違いでは?」
しかしイーズス伯は、手を組み、アーサーを恨みがましく睨みつけながら、
「間違いならどれほど良いか・・・しかし、セーラが言っているのだからな。エリザベスの一目惚れだそうだ。しかも、セーラまで応援している。きっと、あの二人の押しの強さに侯爵も負けたに違いないのだ。結婚を前提にお付き合いしましょうと返事をしてくれたらしい。くそ、うちの娘をあんな年寄りにやるなんて。」
「いや、父上よりは若いですよ」と思ったが火に油を注ぐようなものだ。
「まあ、父上。あの冷静沈着な侯爵がうちのエリザベスと結婚までは到達しない可能性は多々あります。父上だって、わかっているでしょう。エリザベスは、可愛い、しかしそれは我々にとってであって、世の男どもからみれば、お転婆で、貴族の令嬢としては少し落ち着きが足りない、すこし結婚相手としては二の足を踏む令嬢です。途中で双方の気持ちがかわることだってあるかもしれません。逆に、二人の気持ちが変わらなければ、祝福してやるので良いのではないですか?」
フリードは、アーサーに諭されてなるほどと思う。
「アーサー、流石にまともなことを言うな。よし、しばらく様子を見よう。アーサー、お前からもエリザベスに話してやれ。」
「わかりました」とアーサーは返答したが、おそらく話す内容は父上とは真逆だろうなと心では思う。父上は、こんなに年上の男を止めるようにという意向だろうが、自分としては、好きならもう少しお淑やかにしろと言いたい。赤ちゃんの時に猿と思ったがあいつはあまり成長していない、このままでは、侯爵が奇特な方でもそのうち呆れられて終わりだと思う。
「さて、ここからは仕事の話をさせてください。ゲルトランの調査とドルミカ王国のことはどうなっていますか?陛下はどのような意向なのでしょうか?」
「ふん、ゲルトランの取り調べについては、あとで報告書を読め。処刑されるとわかってから、ずっと自分は悪くないんだばかりだが、ジョンの方は覚悟を決めたのか色々と話している。牢屋での処遇をよくしたいからだろうが。
やはりドルミカ王国の商店にいた男がゲルトランに近づいて色々と手筈を整えたようだ。気になるのは、その男がこちらの貴族界に随分詳しかったことがわかる。そもそもゲルトランを暗殺計画のために選んだところが謎だ。ジョンが言うには、商店の男は、ゲルトランが、簡単に悪事に手を染めることがわかっていたようだ。金に困っているやつなんかいくらでもいるが、王太子の行動を把握することが何を意味するなんてすぐ想像できるはず、多くの人間は金に困っているからと言ってそんなことに手を染めたりせん。
どうも、我が国の貴族の内情に詳しいのが気にはなる。」
フリードはため息をつく。
1ヶ月の休みに数日残っているものの、仕事は山積しているはずである。特に、父親の騎士団総団長のことを考えると申し訳ない気持ちでいっぱいである。
騎士団にもどり総団長室に向かう。途中で、
「よお、ようやく戻ってきたな、この色男、さっそく、婚約したとは許せん。俺様が独身というのに遠慮というもんが無いのかよ」
と後ろから第四騎士団長のアスコットが首に腕を巻きつけてくる。
腕を軽く剥がしながら、
「勘弁してください、これから、総団長室に行かなくてはならないのですから。」
と答えると、アスコットが、
「まあ、仕方ねーな、忠告しておいてやる。総団長の機嫌は非常に悪い時と良い時のアップダウンが激しい。しかもお前さんの残した仕事の上にドルミカのことや、王室の後継者問題など、山積みだ。憔悴しきりだ。
何が地雷なのかもはっきりせずみんなハラハラしている。
ちょうどお前が帰ってきてくれて良かった。原因を探ってほしいし、解決策も考えてくれ。」
と話してくれた。
父上の機嫌のアップダウン?そんなのは、母上以外には考えられないが、今日会った時の母上のすこぶる機嫌の良さを考えるとそんなに機嫌が悪くなることがあるんだろうか。
不思議に思いながら、
「失礼します。アーサーイーズス入ります」
と入室する。
「え? エリザベスが、ですか? しかもゼオン侯爵と、ですか? そんなわけないでしょう?あんなお転婆娘と侯爵、ほかの侯爵の間違いでは?」
しかしイーズス伯は、手を組み、アーサーを恨みがましく睨みつけながら、
「間違いならどれほど良いか・・・しかし、セーラが言っているのだからな。エリザベスの一目惚れだそうだ。しかも、セーラまで応援している。きっと、あの二人の押しの強さに侯爵も負けたに違いないのだ。結婚を前提にお付き合いしましょうと返事をしてくれたらしい。くそ、うちの娘をあんな年寄りにやるなんて。」
「いや、父上よりは若いですよ」と思ったが火に油を注ぐようなものだ。
「まあ、父上。あの冷静沈着な侯爵がうちのエリザベスと結婚までは到達しない可能性は多々あります。父上だって、わかっているでしょう。エリザベスは、可愛い、しかしそれは我々にとってであって、世の男どもからみれば、お転婆で、貴族の令嬢としては少し落ち着きが足りない、すこし結婚相手としては二の足を踏む令嬢です。途中で双方の気持ちがかわることだってあるかもしれません。逆に、二人の気持ちが変わらなければ、祝福してやるので良いのではないですか?」
フリードは、アーサーに諭されてなるほどと思う。
「アーサー、流石にまともなことを言うな。よし、しばらく様子を見よう。アーサー、お前からもエリザベスに話してやれ。」
「わかりました」とアーサーは返答したが、おそらく話す内容は父上とは真逆だろうなと心では思う。父上は、こんなに年上の男を止めるようにという意向だろうが、自分としては、好きならもう少しお淑やかにしろと言いたい。赤ちゃんの時に猿と思ったがあいつはあまり成長していない、このままでは、侯爵が奇特な方でもそのうち呆れられて終わりだと思う。
「さて、ここからは仕事の話をさせてください。ゲルトランの調査とドルミカ王国のことはどうなっていますか?陛下はどのような意向なのでしょうか?」
「ふん、ゲルトランの取り調べについては、あとで報告書を読め。処刑されるとわかってから、ずっと自分は悪くないんだばかりだが、ジョンの方は覚悟を決めたのか色々と話している。牢屋での処遇をよくしたいからだろうが。
やはりドルミカ王国の商店にいた男がゲルトランに近づいて色々と手筈を整えたようだ。気になるのは、その男がこちらの貴族界に随分詳しかったことがわかる。そもそもゲルトランを暗殺計画のために選んだところが謎だ。ジョンが言うには、商店の男は、ゲルトランが、簡単に悪事に手を染めることがわかっていたようだ。金に困っているやつなんかいくらでもいるが、王太子の行動を把握することが何を意味するなんてすぐ想像できるはず、多くの人間は金に困っているからと言ってそんなことに手を染めたりせん。
どうも、我が国の貴族の内情に詳しいのが気にはなる。」
フリードはため息をつく。
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