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2:ロバートとアデリーナ
ゲルトランの企み
しおりを挟む若い頃から変わらない男、ゲルトランです。
「いよお、ジェイド、久しぶりだな。こんなところでお前に会うとはな」
「ゲルトラン・・・」
ここは、貴族クラブであり、その中でも場末にあると言われ、高級娼婦もおり賭博もある。怪しい薬の取引も陰で行われているという噂がある。
ジェイドは、アデリーナと会うことも叶わず、父からも叱責され、最近は仕事も疎かになり、夜はここで賭博やタバコや酒でうさを晴らすようになっていた。
「聞いたぞ、アデリーナ嬢に恋をしてこっぴどく振られたってな」
ニヤリと笑いながら聞いてくる。
厄介な奴がいたなと思い、顔を背ける。
「おやおや、だんまりか。恋する男は辛いな。わかるぞ。俺も気になる女がいるんだが俺のことなんて気にもかけてないからな・・・なあ、手伝ってやろうか?」
ジェイドはピクッとする。
「どういうことだ。何を手伝うというんだ?」
おやおやと心の中で思いながら、
「お前の恋が成就することさ」
ゲルトランは返事をする。
「そんなことできるわけがないだろう」
吐き捨てるように言う。
「何を言っているんだ。貴族令嬢なんて、やってしまえばもうその男と結婚するか修道院に行くしかないんだからな。連れ去って、お前のものにしてしまえばいい。傷物と呼ばれて社交界で笑い者になるくらいならと親もお前との結婚を認めるさ」
さも簡単そうに欲しい答えをやる。
「そ、そんなことをすれば犯罪だ」
「まあ、犯罪ギリギリだが、うまくいけばアデリーナ嬢はお前のものだ。少し前だが、俺は、ロバートが彼女とこっそり公園であっているのを見たぞ。あれは、かなり親密な関係と見た。」
ゲルトランはふふんと笑う
「な、まさか。ロバートが。」
「ジェイド、お前はロバートにしてやられたんだよ。ロバートのやつ、卒業してすぐに領地に帰っただろう。精力的に領地でハーブの育成に力を入れているらしい。最近ではケントの評判はうなぎのぼりだ。それもこれもどうやら好きな女との結婚を両親に認めてもらうために頑張っているらしい。その女が貴族だが爵位が無いらしい。つまりアデリーナ嬢のことじゃないのか」
「ゲルトラン、お前はなんでそんなことを知っているんだ」
「ふふ、俺は俺なりに停学になった後どうしてこうなったのか調べたんだよ。お前たち生徒会が、特にロバートが下級生に色々と噂をふきこんでその結果、停学になったことをな。お前のことも恨んでいたが、それよりも気にくわないのはロバートのやつだ。ロバートに一度煮え湯を飲ませてやらなければなと思って色々調べていたのさ」
ロバートがアデリーナと恋に・・つまりあの時に牽制したのに嘘だとわかったということか。
ロバートとアデリーナが一緒に乗馬を楽しむ姿を想像する・・・許せない。
グッと手を握りしめる。
「話を聞こう」
ゲルトランの方を向く。
「おう、多少、金もかかるぜ、こういう事はな」
ニヤリとゲルトランが笑う。
「構わない」
恋する男は盲目とはよく言ったものだ。うまく行けば、ロバートを悔しがらせ、ジェイドを金づるとすることができる、失敗しても俺が手伝った証拠はないからな、そして、もう一人の女も手に入るかもしれん。ゲルトランはほくそ笑んだのだった。
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