前世で医学生だった私が転生したら殺される直前でした。絶対に生きてみんなで幸せになります 2

mica

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2:ロバートとアデリーナ

家族の反対

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「お母様」

「まあ、アデリーナ、すっかりローヌ王国の洗練されたレディーだわ」

「まあ、お母様ったら。お世辞がお上手ですわ」
アデリーナがはにかむ。

卒業間近になったことで、アデリーナの母がローヌまで卒業式に参加するためにやってきたのだった。2年以上離れており久しぶりに会えた母をみると少し涙が出てくる。母も同じようで、アデリーナを抱きしめてくれる。

「あら、本当のことよ。それから喜んでちょうだい。とうとう、第二王子が今度ご結婚されることになったのよ。
これで帰ってきても問題ないからね。安心しなさい。」

クラウン一族、皆が、時間はかかったがようやく第二王子が結婚することでホッとしているのだった。

「どうしたの?浮かない顔ですわね。」
アデリーナの表情を見て不思議に思う。

「そんなことはないですわ。第二王子のご結婚は喜ばしい限りですもの。」
慌てて返事をする。

「そうでしょう。あなたも後少しで卒業ですもの、これでスコールで結婚相手を決めることができますわ。ジェイド様がプロポーズに来られたとは聞いていますが、もう断ったのですよね。」

エドガーから話を聞いた時には驚いたが、アデリーナはそのつもりは無いと聞いて安心していたのだ。


「は、はい、ジェイド様は単に子供の頃の知り合いですもの。ですがお母様・・」

「アデリーナ、久しぶりだね。」

エドガーが部屋に入ってきた。

「お、お兄様、お兄様までいらっしゃったのですか?」

「無論だ。母上お一人でご旅行なんて何かあっては大変だ。本当は父上が来られる予定だったんだがちょうど研究が一つ山場だからと諦められたんだよ。」

エドガーが軽くアデリーナを抱きしめて頰にキスをする。

「そうですの。。お兄様、お久しぶりです。」

アデリーナからするとお母様だけであればなんとかロバート様のことを説得できたのに兄がきたとなるとかなり大変に違いないと思い気もそぞろになる。

「ああ、半年前に立ち寄った時には、ジェイド殿に声をかけられて驚いたね。あんな無作法な男になっているとは思わなかったよ。デンツ公爵には抗議をして謝罪もいただいた。それから彼も反省しているのだろう。連絡がなくなってホッとしているよ。」

エドガーが微笑む。

こんこんとノックがしたと思ったら、メイドがやってきて、

「失礼します。アデリーナお嬢様にロバート ケント様がお会いになりたいと来られてますがいかがなさいますか?」

二人がこちらを見る。
「どういうことだ?アデリーナ?」

「ええ、あの・・」

エドガーが、メイドに指図する。
「ケント殿をお通ししなさい。彼から話を聞いた方が早そうだ」


部屋に入ってきたロバートは、3人を見て、すぐに貴族の礼をとる。そしてスコール語で

「初めまして。突然伺いました無礼をお許しください。私は、ケント子爵の嫡男、ロバート ケントと申します。この度お願いしたい儀がございましてまかり越しました。」

「ケント殿、丁重なご挨拶、痛み入る。スコール語も随分練習されているようだ。それで何用かね?」

エドガーが慇懃無礼というのはこういうのではないかと思う態度で返事をする。

「はい、私は、アデリーナ様をお慕い申し上げております。ぜひ、私と結婚していただけないかとお願いに参り」

「断る」

「お兄様!」

「アデリーナは黙っていなさい。ロバート殿、アデリーナはすでにわが遠縁の将来有望な男と結婚を予定している。そもそも、私たちは、あくまでローヌには留学させただけで嫁がせるつもりは一切ない。あなたはあなたにふさわしい令嬢と結婚なさるべきだろう。」

「そうです。ケント様、我が家は代々学者の一家で、ローヌの社交界で舞踏会やお茶会でご婦人との会話を楽しむなんてことは娘には難しいですわ。」
母も同調する。

「ご安心ください。私は、お嬢様がお困りになるようなことは一切望みません。私が望むのは、アデリーナさまが私のそばにいてわが人生を共に歩んでくださることだけなのです。彼女が悲しむようなことは一切させません。信じてください。」
ロバートは、冷たく返事されても、もともと覚悟していたのだろう、真摯に返事をする。


「お兄様、お母様、お願いです。私もロバート様をお慕い申し上げているのです。どうか、結婚をお許しください。」
アデリーナも懇願する。

「アデリーナ!お前まで。この間、ようやくジェイドを振り払ったと思ったのに、いつの間にこんな男と!情けない。お前は何のために留学したんだ」
エドガーが呆れたような表情をする。


「お兄様、無論、きちんと学びましたわ。卒業式では最優秀賞をいただけることになっております。クラウン家の落ちこぼれ姫と揶揄されていた私ですが、ここではきちんと認められております。それとは別です。私は、ロバート様と初めてお会いした時に恋に落ちたのです。ジェイド様は全く私は関係ないです」

「何にせよ、話になりませんな。ジェイド殿もそうだが、ロバート殿、あなたも同じだ。すでに、親の決めた相手がいるのです。他の男が出る幕はない。お帰り願おう」

メイドと使用人を呼びつける。それを見て、ロバートは、
「今日は失礼いたしますが、また参ります。
アデリーナ様を一生大切にします。お願いです。許可いただけるまで何度でも参ります。」

美しく貴族の礼をとって帰って行ったのだった。

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