りこちゃんせんせい

やぼ

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悲しい過去

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さくらんぼ児童クラブに突然現れた
不思議な植物のことは、さくらんぼ小学校
でもニュースになった。


「赤い植物が校長先生になったあ?」

「赤い植物は、サンタさんだった。」

「この前は、恐竜だったよ。」

子ども達は、あることないこと
噂した。

そのせいで、毎日毎日、
たくさんの子ども達大人達が
赤い植物を見に、児童クラブへ
やってきた。


「なんだ、普通の赤い植物じゃん。」

「どこが恐竜なの?」

「紅葉してるだけだろ。」

「これ、ポインセチアだよ」

だけど
見に来た大勢の人達には、普通の赤い植物
にしか見えなかった。

テツコ先生は、見える人と見えない人が
いるみたいですねと人々に説明した。

りりこ達先生も児童クラブの子ども達にも
見える人と見えない人といることが
わかった。


どうして自分達には
見えるのかな?

もしかしたら、この赤い植物は
自分の心を映し出す
心の花なのかもしれない。

誰も口には出さなかったけど
みんな同じことを思った。


「ねえねえ、りこちゃん先生
僕達で、あの植物に話しかけてみない?」

たいらくんがりりこに聞いてきた。


「そ、そうね。お水をあげるのも
みんなでした方が恐くないしね。」


そして、りりこ、たいらくん、虎之助くん
しおりちゃん、アキちゃんで
お水をあげることにした。

しおりちゃんが私があげると
お水をあげた。
すると赤い顔をした頭に角のある
鬼が現れた。

みんなにも赤鬼が見えた。

「今日は、どうして赤鬼になったの?
あなたの正体は一体何なの?」

鬼を見ても少しも恐がらない
しおりちゃんが話しかけた。

「お前、俺がこわくないのか?」

りりこもたいらくんも虎之助くんも
アキちゃんもしおりちゃんの後ろで
おしくらまんじゅうのように固まって
震えてた。

「全然、恐くないし。あたし恐いのは
ママだけだから」

「なんだ、そう言うことかそれじゃ
お前のママになってやる」


「え?しおりちゃんのママは、病気で
亡くなったって、テツコ先生に聞いたけど」

「しっ、黙って先生、あたしママに会いたいの。だから黙って」

りりこの小さなつぶやきを、しおりちゃんが
小さい声でさえぎった。

しおりちゃんは、目を閉じて
何か念じてるみたいだ。

「あ!しおりちゃんのママだ!」

たいらくんが叫ぶと、赤鬼はしおりちゃんの
ママに変身していた。

その声を聞いて
しおりちゃんは、目を開いた。

「ママ-!!」

しおりちゃんは、それが本当のママじゃ
ないのに、ママに抱きついた。

「ママ-、会いたかった-、
しおり会いたかったの-」

しおりちゃんの瞳からポロポロと
こぼれ落ちる涙がママのエプロンにも
滲んだ。

するとしおりちゃんのママの顔が
だんだんあの消えたおじいさんの顔に
変わっていった。

「ダメ、お願いだから、ママに戻ってよ!」

しおりちゃんは、泣きじゃくって
おじいさんを叩いた。

「わ、わかったよ。あと1分だけ
お前のママになってやるから、だから
お前も俺の言うことを聞いてくれるか」

「わかった」

しおりちゃんがすぐに返事をしたので
りりこが「ダメェ-」と叫んだが

しおりちゃんはおじいさんと一緒に
消えていった。

ガタガタガタガタ、震えていたのは
虎之助くんだった。

「しおりちゃんを助けなきゃ、先生」

たいらくんが叫んだ。

「うん。わかってる。」

りりこは、もう恐がってなかった。
しおりちゃんを助けなきゃと
ただ、それだけを考えていた。

そして、たいらくん、虎之助くん
アキちゃんに児童クラブへ戻るように
言った。

りりこは、しおりちゃんが置いていった
じょうろを持つと、赤い植物に水をかけた。

「俺も一緒にいくよ。先生だけじゃ
頼りないもん」

「ダメだよ、たいらくん。もし戻って
来れなくなったら困るから、君も部屋に
入ってて!」

「でも、先生…」

「先生の言うことを聞きなさい!」

小さな声でしか子ども達と話せなかった
りりこが.初めて厳しい大きな声で
たいらくんを叱った。


たいらくんは、心配そうにりりこを
見ながら、1年生の2人を連れて
児童クラブへ入っていった。


りりこの前には、最初に見た巨大な
赤い木がそびえていた。

「私をあなたの中へ連れていきなさい。」

赤い大木は、ハハハと笑って

「私の身体のどこでもいいから、触れ」
と言った。

りりこが赤い木を触ると
すっと大木の中へ吸い込まれていった。


しおりちゃん、しおりちゃん、
どこにいるの?

赤い木の中は、真っ暗だった。

「先生、ここだよ。」

暗闇の中で
しおりちゃんの声が聞こえてきた。
声のする方を見ると
しおりちゃんがあの銀髪の老人といた。

「しおりちゃんを返してください!」

りりこが怒って、そう言うと

「嫌だね」

老人はニヤリと笑った。

「先生、今ね、おじいさんの話を
聞いてあげてたの。おじいさんね
もう何百年もこの中で生きてるんだって」

「そう、しおりちゃん、先生の側に
来てくれる。この髪留めしおりちゃんの
でしょ」

「わかった。ありがとう。先生。」

しおりちゃんは、おじいさんから
離れて、りりこの側に来た。

「ハハハ、そう恐がるな。どうせ
ここからは出られんぞ。」

「あなたは、何がしたいの?ひとりで
寂しくて、ここの子ども達を
恐がらせたり意地悪をしてるけど、
本当の目的は何ですか?」

りりこが睨むように、老人にそう言うと

「俺は、木こりだった。
毎日、毎日、木を切っていた。
そしてそれを売ったり、家具を作ったり
して生活してたんだ。」

老人は、遠くを見つめながら話し始めた。











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