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四章『トマト編』

第345話 万全の態勢

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 翌朝。宿屋の一室。

「それでは今回の作戦会議を行う」
「はい!」

 俺たちの部屋にはアイナ、エリノア、スーがいる。
 その3人が丸いテーブルを囲んでいる。俺はテーブルの中央だ。視線が集まる。

「今回の勇者パーティの一番の目的は怪物の眠る森にて『伝説の剣』を発見することだ」
「はい!」
「にゃあ、バーガー」
「なんだ?」
「伝説の剣ってなんていう剣にゃんだ? 名前(にゃまえ)で呼んだ方がわかりやすくにゃい?」
「知らない」
「知らにゃいの?」
「王さまも見たことがないんだ」
「本当にそんにゃ剣あるのかにゃあ」

 アイナも言っていたな。だが俺には確証があるなぜなら。

「ハンバーガーの勇者がいるんだ、伝説の剣けんくらい余裕である」
「ははっ、それもそうだにゃ」
「でもでもバーガー様」
「なになにアイナさん」
「さんづけはやめてください」

 様づけしてる人に言われましても。聞きますけども。

「その運搬中に襲撃してきた『何か』というのはなんなのでしょうか?」
「さぁな」

 その時、ドアがノックされた。

「開いてるぞ」
「会議なう?」

 現れたのはジゼルだ。

「ジゼル、どうしてここに?」
「王さまが、王国側から兵を出すと言っていたと思う、その1人が私」

 そういいつつ、ジゼルはエリノアの隣に座る。

「そうか、それは頼もしいな」
「大船に乗ったつもりでいて」
「ああ。そうだ王国魔導師のジゼルなら今回のことで何か知ってないか?」
「運搬隊を襲った『何か』のこととか?」
「そうだ」
「分からない。聖騎士隊長クラス以上で構成された運搬隊が全滅、その後の調べで現場で戦闘があったことまでは分かっている」
「100年も前のことだが、危険性はあるのか?」
「ある。事件があるまでは、あの地の魔力濃度は高くなかった、と言われている」
「わかった、何かあると見た方がいいか」
「そう。油断は死を招く」

 そう言うとジゼルは紙を取り出す。
 これは・・・・・・。

「地図か?」
「そう。その怪物の眠る森辺りまでの地図」

 かなり鮮明に書かれているな。
 ジゼルが地図の一部を指さす。王都付近だ

「この辺りに聖騎士で編成された捜索隊がいる」
「もう出ているのか?」
「彼らが先に出て怪物の眠る森に拠点を作る。それは冒険者も利用できる」
「なるほど、万全の態勢だな」

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