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四章『トマト編』
第350話 ベースキャンプ
しおりを挟む王都を出て1週間。
「ここが『怪物の眠る森』か」
草原地帯を進んでいると、緑の壁が見えてきた。背の高い木々がその境界線から鬱蒼と生い茂っているのだ。あれでは馬車も通れないだろう。
「明らかにあそこから魔力濃度が異常に高くなっている」
「分かるのかジゼル?」
「魔導師なら魔力にも敏感になる」
魔力は魔物だけではなく、樹木の成長も早めるというのか、その魔力の性質も関係しているのか?
シャニーが走り寄ってくる。
「ば、バーガーさん、向こうに聖騎士たちが作ったベースキャンプがあるよ」
「おお、助かる」
これからどれくらい時間が掛かるか分からないからな。
安全の確保された場所がどれだけ重要なことか。
ベースキャンプはすぐ近くにあった。
7、8メートルはある丸太でできた柵に囲われている。施設内の建物が全て木製なのは、きっとこの森から材料をとっているからだろう。
この森の木は魔力をたっぷりと吸って太く頑丈に育っているようだ。
柵より大きな高台もあり、魔物の接近にも気づくことができる。
俺たちが近づくと、聖騎士の1人が冒険者を集め、説明をしていた。
「このベースキャンプ内にある施設は無償で提供している。ここで存分に英気を養い。この森の調査に励んでくれ!」
王さまも太っ腹だな、あっけらかんとしているがやることはやってくれるようだ。
「ここで一息つけるな」
「でも長居(にゃがい)はしたくにゃいよ」
「だよな、エリノアも色々忙しいもんな」
「そうだよ、あんまりモタモタしてるとミーが掛け持ちしてる依頼が他の奴らに取られちゃうよ」
「まったく、どれだけお金が必要なんだよ」
借金でもしてんのかな。
「あればあるだけいいにゃ、とにかくたくさん稼がにゃいといけにゃいの」
エリノアはそう言うと荷物を持って一足先にベースキャンプの中に入っていく。
「ま、どんな魔物が来ても俺には変顔(ギャグフェイス)があるからな」
「バーガー様、あれは味方すら殺しますよ」
「ですよねー」
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