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四章『トマト編』
第359話 怪物の眠る森8
しおりを挟む「は、はははは! こうなったら徹底的に邪魔をしてやる。伝令だけを執拗に狩ってやる」
おいおい、なんて最悪な宣言だ。
チーターズはどんどん離れていく。追尾する鎌鼬よりも速い。
「覚えておけ! 最後の一人になるまで狩り続けてやる! そして最後の一人はじっくりと、おおあッ!!?」
「なんだあれは!?」
チーターズを横から飛び出した影が襲う。
喉元を噛みつかれて組み伏せられている。
「がっああ!! お、ま、えば・・・・・・魔人っ!?」
そう。飛び出したのは棘の魔人。ニードルハックだ。
言葉は返さずにチーターズの喉をかみ続けている。
「あアッ!! やめろ!! なぜだ!! ながまだろ!! ぎゃあ!!」
ボキンと首の骨が折れる音がする。最後のチーターズは絶命した。そして遅れて鎌鼬が襲いかかる。
「ふん」
ニードルハックが首を振ってチーターズを振り回して鎌鼬に当てる。
盾にされたチーターズだったものは、いくつもの鎌鼬に当たってズタズタに切り裂かれる。
そして首を咥えたまま。ゆっくりと立ち上がる。見ているのはオショーの周りにある肉片だ。
俺たちが呆然としていると、ニードルハックは視線を戻して、森の方へと走っていった。
「な、何だったんだ?」
なぜ共食いを? 人間は魔人たちの共通の敵ではないのか?
隣のジゼルが呟いた。
「共食いをすると強くなる。ニードルハックは強さを求めている魔人なのかも」
「最強になりたいってのか?」
「うん。仮にここの魔物や、魔人を食い尽くしたら。九大天王に匹敵する魔人になるかもしれない」
「そうなれば、オショーでも適わなくなる」
「心外ですぞジゼル殿」
「本当のことを言ったまで、チーターズはもういない。伝令を出して」
「承知しました。・・・・・・伝令は出しますが、ここで待つだけでは済まなくなりましたな」
「わかっている。ニードルハックは優先して討伐するべき魔人。これ以上力をつける前に倒さないといけない存在」
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