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四章『トマト編』

第379話 伝説の剣を抱いて2

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「・・・・・・トマトだ」

 俺は目を疑いながらもトマトに這い寄る。
 茎をしならせてトマトが頭を垂れている。

 重量感があり、何とも瑞々しい・・・・・・。
 間違いない、これはトマトだ。

「ごくり」

 唾液のないはずのバンズの体が唾を飲み込む動作をする。
 俺は今とてつもなく挟みたい衝動に駆られている。

「ああ!! もうっ我慢できないよっ!!」

 俺はトマトに飛びかかる。クラウンとヒールでトマトを優しく包む。そして茎と繋がっている部分に力を入れていく。

 ブチッと茎から切り離す。俺は落下した痛みなどなんのそのでトマトを口一杯に頬張る。

 ツヤッツヤだ。この中にジューシーなトマトジュース(黄色い液体)が入っているのだ!

 解析を開始する。




『魔力草から魔法強化(マジックストレングス)を検出。3回使用可能』

 魔力草? いやいやトマトだろ常識的に考えて!
 レタスの時もそうだ! なんなんだ! この世界狂ってんな!

 って、魔法強化(マジックストレングス)?
 名前の通りなら魔法を強化するんだろうけど、今の俺にはトマトしかない、スーの前髪はもう使い切るから魂(マテリア)の実体化(ライズソウル)は使えない。


 一玉丸々挟んだせいか、相当な魔力量だ。これだけあればしばらくは大丈夫だ。


 まだまだトマトはある。ここを拠点にして辺りを探索するのも悪くないな。

 視界の先までトマト畑は続いている。それと同じく光る岩がトマトを強く照らしている。


 ・・・・・・なんか人工的な感じがしなくもないな。
 たぶんトマトの成長にはあの岩の放つ強い光が必要不可欠なんだろう。じゃなきゃ地下でトマトが育つわけがない。

 何かいるのか?
 農業をする魔物? 聞いたこともないな。


 俺はトマトの感触を堪能しつつ洞窟内を這い回る。
 トマト以外にはこれと言って挟めそうなものはない。



 俺は元きた通路に戻る。うーむ。やはり暗いな。
 そうだ。俺は光る岩に近寄る。丁度いい大きさの光る石を頭に乗せる。

 これなら暗いところでも移動できるぞ!
 ずっとここにはいられないからな。俺はトマトゾーンをあとにした。

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