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四章『トマト編』
第412話 修行3
しおりを挟む生徒たちが登校してきている。俺たちをポカンとした顔で眺め、そして通り過ぎていく。
スマホがあったら写真を取られてSNSに投稿されていたに違いない。異世界でよかった。
アイナはもう限界だ。クロスケが手加減しているのは目に見えているが、それでも王国最強の三騎士、クロスケの攻撃を受けて無事で済むわけがない。
「まだまだこんなもんじゃねぇ。アイナには3日間。この俺と戦い続けてもらうぜ」
「無理だ!」
「だからてめぇが決めつけンなよ」
「やぁ!!」
「お?」
俺の方を向いたクロスケの隙(隙になってない)を突いてアイナが距離を詰める。ああ、あれは最後の力を振り絞った一撃だ。普段よりも洗練された無駄のない相手の急所を狙った最短距離の拳だ。
「あらよっと」
それをクロスケは無慈悲にもそれを受け流す。アイナの体が宙に浮く。そしてクロスケを飛び越して背中から地面に叩きつけられる。
「がはっ!」
「アイナ!」
「う・・・・・・ぐぅ・・・・・・」
アイナは必死に立とうとするが、もう立つ力も残っていない。
クロスケは疲れも見せずにアイナに歩み寄る。
「終わりだな。一発で楽にしてやる。起きたらベッドの上だ」
クロスケが足を振り上げる。
それを待っていたかのようにアイナは右手をクロスケに向ける。
「突風(ブラスト)!!」
「お」
アイナの右手から突風が発生する。発生の早い魔法だ。それも至近距離。決まった!
「いいそよ風だな」
クロスケは直立不動だ。どうしてだ・・・・・・。
今のはアイナの渾身の魔法だ。
「どうしてって顔してるからひとつ教えてやる。魔力ってのはこの空気中にも含まれている。目に見えねぇけどな。それを操作して固めたり、動かしたりして、相手の魔法を凌ぐことができる」
アイナはクロスケに向けていた右手を力なく落とす。
立つこともできない。万事休すか。
「じゃ、お疲れさん」
「待て!!」
俺は動いていた。アイナの前に移動してクロスケを睨みつけてやる。
「動くなッつッてンだろ!!」
クロスケの怒号が響き渡る。学校どころかここら一体に轟いただろう。
「馬鹿野郎!! 俺は動くぞ!!」
俺も負けじと大声を出す。
もはや修行どころじゃない。アイナがボロ雑巾のように扱われているのを見て黙っていられるほど俺は馬鹿じゃない!
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