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四章『トマト編』

第436話 トマト生産ライン

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「俺にこれを教えてどうするつもりだ?」
「これを使えば三騎士とももう少しいい勝負ができると思って」
「どうして協力する」
「言えないっス」

 確実にその魔王の命令だな。さっきの人たちも言っていたが、魔王は生きているっぽいし。どうなってんだか。

「とにかくバーガーには強くなってもらわないと困るっス。ここの魔力草を出荷するようにするっス。利用してほしいっス」
「・・・・・・わかった、意図はわからないが、トマトは本物だ。使わせてもらう」
「それでいいっス。あ、お土産に一つ挟ませてあげるっス」










 そんなこんなでスカリーチェの工房をあとにした。
 まったく先が思いやられる。

 遅れて教室に到着すると、トレース先生が教室前でオロオロしていた。

「トレース先生」
「ああ! バーガーさん!」

 相当困っているのだろう。俺を見るや駆け寄ってきた。

「待っていました」
「何しているんですか? 授業中では?」

 遅れてきた俺が言うことでもないけどさ、

「それが・・・・・・」

 トレース先生が口ごもる。なんだ教室に何かいるのか?

 ああ、分かったぞ。ゴキブリでも出たな。トレース先生虫苦手そうだもんな。

「ふっ、トレース先生、俺に任せてください、すぐに片付けてあげますよ」
「え? バーガーさん!?」

 俺はドアに体をねじ込んで開く。さぁ、気を取り直して勇者らしい行いをーー

「・・・・・・」

 クゥがいた。教卓に立っている。
 ゴキブリなどいなかった。

「何してるんだ」
「授業」

 黒板にはビッシリと文字が書かれている。

「席につけ」
「え、なんであんたが」
「席につけ」
「はい」

 俺はアイナの元に跳ね寄る。

「バーガー様。その魔力草は」
「スカリーチェからーーうぶっ!!」

 チョークがアイナの机に突き刺さる。

「私語厳禁、次は当てる」

 俺たちはコクコクとうなづいた。



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