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四章『トマト編』

第513話 最後の修行53

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 鴉の魔人はゆっくりと全体を見渡している。最後にセミリオンが背負っているラーメンどんぶりに視線がいく。

「ラーメンは死んだか。パロムの言う通りだな」

 どうやってかは分からないが九大天王の死は敵に伝わっているらしい。

「九大天王が更に一人来るとはなッ!! 本格的に戦争を始める気になったかッ!!」

 何っ!? あの人も九大天王なのかってグラップって前にジゼルが説明していた魔人の名前だった!

 グラップはグレイブを睨みつけるだけで返答はしない。

「いつまでそうしているつもりだッ!! 俺のスキル、熱気(ホットエア)による持続ダメージを受け続けるつもりかッ!!」
「何を言っている。もうセミリオンはその手にはいないぞ」

 グレイブがセミリオンの首を掴んでいた手を見る。セミリオンがいなくなっていた。

「こっちだ」

 グラップの横にセミリオンがいる。
 なるほどな、グラップは光速と言う二つ名の通り。光の速さでセミリオンを助け出したというわけか。

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