上 下
612 / 1,167
五章『チーズ編』

第612話 ダークバーガー5

しおりを挟む

 このままでは共倒れになる。そうなる前にキメに行かなければならない。

 何度目かになる剣戟を終えて距離を取る。

「俺たちに勝ち負けはない、同じなのだからな。チーズを諦めて大人しく帰れ」
「そうはいかない。俺をコピーしたなら分かるはずだ。めちゃくちゃ挟みたいんだよ、チーズ!」

 ダークバーガーは無言で剣を構える。俺の気持ちが分かるのだろう。絶対に諦めないのが分かっているんだ。

「ダークバーガー、お前も挟みたいんじゃないのか?」
「なにを」
「チーズだよ。挟みたいだろ?」
「挟みたくない」
「嘘だ、俺の影から生まれたなら挟みたいはずだ」
「挟みたくない」
「熱を通してトロトロになったチーズがパテやトマトに絡む」

 ダークバーガーはゴクリとない喉を鳴らす。
しおりを挟む

処理中です...