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五章『チーズ編』

第674話 大戦争49

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「では魔王様」

 セミリオンは恭しい礼をしたあとに、魔王に手を向ける。

「ほう、我も歌えと?  面白い」
「せっかくの場ですから、どうぞご一緒に」

 セミリオンは高速で魔王に接近する。音を超えたことを知らせる衝撃波が部屋の空気をかき乱す。

 セミリオンの放った拳を魔王は僅かに動いて回避した。
 魔王は顔色一つ変えずに視線のみをセミリオンに向ける。

「流石です」
「安心しろセミリオン。この部屋は防音に優れている。というか余波程度ではビクともせん。破壊不能と言っていいだろう」
「心遣い感謝の極み。『神音(しんおん)』」

 セミリオンの4本の腕がそれぞれ音を放つ。掌を魔王に向けて音を集中させる。

「四重奏(カルテット)」

 超振動を4重にして魔王にぶつけたのか。それも一つ一つが超振動を超えている。

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