現代最強は楽しいハンバーガーに転生しました

黒木シロウ

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一章『レタス編』

第16話 頼りがいありすぎて

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 タスレ村の南には広大な草原が広がっている。現在、そこを俺とアイナは馬に乗って移動している。俺はアイナの前にいる。振り向きたい気持ちに駆られるが我慢だ。話でもしてこの気持ちを紛らわそう。

「馬術の練習もしていたのか?」
「はい、夜にこっそりと。まさかこんな形でバーガー様にお見せするとは思っていませんでした」
「練習っていったて、まだ10歳なのに上手いもんだな」
「この子だからですよ。私みたいな子供でもちゃんということを聞いてくれますから」

 馬の名前はエ〇ナと名付けよう。
 否否、この馬は確か村長の馬だ。名前はすでにあるはずだ。

「バーガー様、魔物です。こちらに気づいて後ろから追ってきています」
「あれは青猪(ブルーボア)か、まだ村の近くにいたのか」
「どうしましょうか? 足を射るだけでもこの子なら追いつかれることはないと思います」
「ダメだ、できる限り始末しよう。帰りも馬で帰れるとは限らないんだ、この遮蔽物がない草原に馬なしで出くわしたら勝機は薄い」
「なるほど、さすがバーガー様、一瞬でそこまで考えて······私が愚かでした、毒矢で確実に仕留めます! バーガー様は危ないのでこのまま鞍にいてくださいね」
「え、何してんの!」

 アイナな俺を鞍の上に置くと、器用にも馬の上に立ったのだ。その射る姿勢は見事なもので、驚異的なバランス感覚を有していることがわかる。エルフ属は木登りも得意だというが、揺れる馬の上に立つ勇気を持っている者は少ないだろう。アイナの放った毒矢は青猪(ブルーボア)の眉間の中心に刺さり、一撃で絶命させた。

「よし! 上手いな」
「ありがとうございます!」
「あの毒矢すごいな、一撃で仕留めるとはかなり強い毒なんだな?」
「はい、毒草だけではなく、毒虫なんかの毒も使ってます。それらを凝縮して矢尻に仕込んでいますから、熊なんかも1発で倒せますよ。お肉はダメになっちゃいますけど」

 それも森に詳しいエルフ属だからできることか、長所を活かしていて実に素晴らしい。俺もハンバーガーであることを活かせればいいのだが、どうすればもっと美味しくなれるのだろうか。

「森が見えてきました、このまま行きましょう」
「ああ、休まずに行けば半日で森の奥に行けるはずだ」
「はい!」

 アイナは意気揚々と馬を走らせる。
 
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