現代最強は楽しいハンバーガーに転生しました

二章『パテ編』

第４７話 蜥蜴軍団１５

　振り返るとエリノアが巻物（スクロール）を発動させているところだった。あの魔法は鋭利（シャープネス）だ、エリノアの持つ剣の斬れ味を強化する魔法だ。

　次の瞬間、エリノアは蜥蜴剣聖（リザードソードマスター）の持つ鉄の盾をまるで紙切れのように切断した。凄まじい切れ味だ。

　体を捻らせてエリノアは連撃を繰り出す。蜥蜴剣聖（リザードソードマスター）の腹を防御した剣ごと斬り裂く。蜥蜴剣聖（リザードソードマスター）はその場に倒れる。トドメと言わんばかりにエリノアは蜥蜴剣聖（リザードソードマスター）の首を豆腐を切るように跳ねた。

「やっと片付いたにゃ」

　エリノアの周りは蜥蜴の惨殺死体で死屍累々だ。かなり血なまぐさい。これをすべて１人でやったのか??????。

「切り傷だらけだな、治癒魔法を掛けてやる」
「どうみてもバーガーの方が重症だにゃ、頭に矢が刺さってるよ」
「なに頭に矢を受けただけだよ、ほら治癒魔法いらないのか？」
「上級治癒（ハイヒーリング）の巻物（スクロール）もあるけどもったいにゃいから頼むよ」

　俺はエリノアに治癒（ヒーリング）を掛ける。深い傷は一つもない、見切ってかわしていたのだろう。こんな切り傷程度なら１回で足りる。

「ありがとう、あぶにゃい！」
「え！？」

　俺はバンズのクラウン部分を急速回転させる俺の背後から火の玉が飛んでくるのが見えた。すでに目の前だ、かわせない。

「??????あれ？」

　目を開くと俺はオーロラ色の円に包まれていた。間一髪でエリノアが魔法攻撃のみを反射する魔法。魔法反射（マジックリフレクション）の巻物（スクロール）を発動させたのだ。

　火の玉は蜥蜴魔導師（リザードソーサラー）の元に打ち返される。蜥蜴魔導師（リザードソーサラー）はなす術なく火だるまになる。今度こそ死んだだろう。

「あ、ありがとう」
「バーガーは爪が甘いにゃ」

　こうして俺たちは蜥蜴軍団を殲滅することに成功した。

　急いでツナコマ村に帰還した俺たちは事の顛末を村長に報告した。

「なんと言っていいのか、村を代表して礼を言わせてください」
「勇者として当然のことだ。して一つ気になることがあるんだが」
「なんでしょう」
「蜥蜴たちは砦を占拠していたのだが、それについて何か知っているか？」
「はい、たぶんその砦なら、その昔、王国軍が魔王軍の戦争が激しかった頃に作られたものでしょう。ここら一帯も戦争地域でしたから。それをまさか魔物が利用するとは」
「これからは周囲の村々と連携を取り砦を管理してくれ、二度と魔物に利用されないようにな。国王には俺から言っておく」
「国王と会ったこともにゃいのに??????」
「お、おほん。当面は、砦でそのままになっている蜥蜴の死体の処理、武具や防具の回収をしてもらおう、各村への伝達もだ。村長を集めて会議を開くのもいいだろう」
「わかりました、私たちが責任をもって砦を守ります」
「うむ、任せたぞ」

　こうして俺は後始末を丸投げすることに成功した。エリノアが「武具と防具を売れば結構にゃ金ににゃるのにー」と算盤を弾いては肩を落としていた。数日休んで俺たちはツナコマ村を出立した。