現代最強は楽しいハンバーガーに転生しました

黒木シロウ

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二章『パテ編』

第70話 モノマ村4

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 宿屋を包囲する魔物の種類は多種多様だ、ちらっと目に見えただけでも。

 軍鶏剣士(シャモソードマン)、鶏の頭を持つ人形の魔物。
 骸骨兵士(スケルトンソルジャー)、死んだ剣士が魔物化。
 軽業猿(アクロバットモンキー)、尻尾を器用に使い戦う。
 矢啄木鳥(アローウッドペッカー)、鋭い嘴で体当りする。
 巨大蝙蝠(ジャイアントバット)、超音波攻撃で通信謝絶。
 巨大蛇(ジャイアントスネーク)、音もなく忍び寄り強襲。
 殺人兎(キラーラビット)、人を見ると見境なく齧り付く。
 泥人間(マッドマン)、泥でできた人形の魔物物理に強い。
 人食(カニバリズム)い鬱金香(チューリップ)、食人草。

 それらが群れをなして道を占領している。どれもCランクの魔物たちだが、数を考慮すれば危険度はA以上あるだろう。

「奴め、ミーたちの様子を窺っているにゃ」

 空を見ると幻影大鷲(アパリションイーグル)が全体を見渡すようにホバリングしている。時々、巨大蝙蝠(ジャイアントバット)が近づいてすぐに離れている、もしかして指示を出しているのか? するとこの群れのボスは奴か。

 紫猪(パープルボア)や、蜥蜴軍団のように、一種類の繁栄をしないのは賢さの証か。亭主に成りすましていたとしたら、奴は人の言葉を話せるし理解している。俺のいた現代でも声真似をするオウムがいる、異世界(ここ)ならなおのこといるだろう。鳥って長寿なのがいるし徳を積んでいても頷ける。

「バーガー、どうする? また籠城でもするか?」
「いや」

 エリノアの提案を俺は却下する。

「蜥蜴の時は篭城先が砦だったから何とかなった、だが今回は違う、ここはただの宿屋だ。扉は壊され窓は割られるだろう。それに今回の相手は一種族だけではない、多種多様だ、攻め方ならいくらでもある」
「にゃら逃げるか」

 この世界でも俺は逃げるのか??????。否、断じて否。今は状況が違うじゃないか。現代の頃とは意味が違う、仲間の命がかかっているんだ。

 それに好きじゃないが逃走(現実逃避)も籠城(引きこもる)と並んで得意分野だ。

「ジゼル」
「なに?」
「宿屋に火を放て」
「心中するなら1人でやって」
「ちっがーう。宿屋に火を放てば、宿屋を背にした時の後ろからの追撃が緩くなるはずだ。雨が降っていても室内なら燃やせるだろ?」
「任せな。雨にも負けないくらい派手に仕上げてやんよ」
「頼んだぞ。魔物どもめ、勇者パーティの本気の逃げを見せてやる」

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