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三章『ギア編』
第161話 プレゼン
しおりを挟むレイにとって最後のチャンスだ。これで俺を説得できなければ、また木偶の坊に戻ってもらう。
レイは困った顔で考えている。普段(洗脳されている状態を普段というのもおかしな話だ)の様子とギャップがある。年相応の、必死に言い訳を考えるガキの様だ。
「思いつきました!」
「別に挙手しなくてもいい、なんだ」
「私はダークエルフです」
「知ってる」
「ダークエルフは呪いに長けています。その力でギアをお手伝いできます」
「アホか、そんなの洗脳時でもできるわ」
「ええ」
「次」
「ええっと、あ······こ、この体を好きにしても」
「それ以上言ったら洗脳する、それにそれもやろうと思えば洗脳時でもできるだろうが」
「うぅ······」
「次」
刻々と時間は過ぎていく。3分とは言ったが時計がねぇから大体だ。
「洗脳の時にはできない事······洗脳の時には······」
あのふざけた提案以降、レイの奴は視線を落としてブツブツと呟いている。どうやらダメなようだな。
「時間だ、もう目覚めることはない」
「ま、待ってください!」
「あん?」
「思いつきました!」
「ちぃ、ラストアンサーだ、しっかりプレゼンしてみろ」
「はい! あのですね······」
レイの奴、急に自身たっぷりな様子で俺を見ている。俺はブリキの玩具みたいな容姿だから、ベットの高さを足してもレイに見下ろされる形になる。
「洗脳されている時って、術者のパロムか、主人登録した人からの指示しか受け付けませんよね」
「そうだ、よく知っているな」
「パロムに捕えられていた時に、その魔法の制作に協力させられていたので······大まかな事は想像できます」
てめぇで作った魔法をてめぇに使われたら世話ねぇな。俺の中のパロムの株がまた上がったな。
「それで? その指示待ち人間になった傀儡がどうした」
「そこです、洗脳された人は指示がないと動けない、つまり無駄な時間が発生しやすいと思うんです」
「······ほう」
「洗脳を完全に解いてくださいとは言いません······一部、命を受けていない時に、術者または主人登録している人に対して損のない範囲の行動しかできないように設定してもらっても構いません、そして指示を受けていない時はギアのために行動します!」
「ふむ、なかなかいい提案だ」
そう、それこそ俺が悩んでいた事だ。洗脳された兵士の有効活用。洗脳して条件を設定できれば、さらに有効的に使うことができる。
「行動の設定はできるのか?」
「できます、洗脳し直した後に、設定したいことを命令するだけでいいです」
「ふぅん、ならよ、別にレイの意識を残しておく必要もないよな」
「え!? ど、どうしてですか!」
「いやだって、その設定の時に、命令がない時は俺のためになる行動をしろって設定しておけばいいだけの話だろ?」
「そ、そうですが······や、やだ! か、帰して、姉さんのところに!」
「いい案だった、というわけで洗脳し直す」
「待ってくだ」
「再洗脳(リブレインウォッシング)」
傀儡に戻した。
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