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三章『ギア編』
第166話 コネ入社
しおりを挟む爆発。
なんだ自爆テロでもされたか? そういや痛みを感じねぇな、この体のせいか。
メアの奴が夜襲を仕掛けてきやがったか、それならいい仕事をしやがる、と評価を上げてやる。
と、他人のせいにするのはこのくらいにして、原因は分かりきっている。
俺の魔法が暴発しやがった。
なるほどな、扱いを知らなきゃこうなるわけか、一つ勉強になったな。
「おいレイ、生きてんのか? 死んでんのか? 返事をしろ」
俺の視界はまだ煙に覆われたままだ。呼んでも応答がねぇってことは、遠くに吹き飛んじまったか、気絶したか、死んだか、どれにしてもいい状態とはいえねぇ。やったのは俺だがな。
「あはは、とてつもないね」
「あーん?」
レイの声じゃねぇな。若いな、子供の声だ。姿は煙で見えねぇ。
「あ、この煙じゃ見えないね、それ」
謎の声の掛け声とともに、一瞬にして煙が掻き消える。声の主の姿が顕になる。
白い鳥、いや人形をしてやがる、魔物という奴か。白目しかない目がやけにデケェ、そして白いフサフサのまつげがうっとおしい。
「ボクが誰かって? ボクは九大天王の1人、魔人パロム」
魔物じゃなかった魔人か。こいつがパロムか。華奢な白鳥の魔人と言ったところか。
「お前がパロムか、ここは俺の部屋だ、不法侵入だぞ」
「緊急事態だったんだよ? ボクたちが助けに入らなかったらどうなっていたことか」
つまり監視していたってことか、どうやってだ? 部屋にカメラでも仕込まれているのか。
「レイラ、いやレイだったね、レイがどうなったか気にならないのかな?」
その呼び方、盗聴器も仕込まれてんのな。
「助けたんだろ? 九大天王」
「いやだな、パロムって呼んでよギア。その方が効率的だろ?」
ほう、全ての話を聞かれていると思った方がいいみたいだな。いい性格してやがる。気に入った。
「勿体ぶらずに出せよ、非効率的だ」
「クフ。いいよ、グラップ」
パロムが翼を鳴らす、すると瞬間移動してきたみてぇにパロムの隣にパロムとよく似た黒い魔人が現れた。姿がパロムと似ている。
「兄弟か?」
「そうだよ、ボクらは九大天王、パロムとグラップさ」
九大天王が2人も······それも兄弟でだと······。
「コネ入社か」
「違うよ!」
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