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三章『ギア編』

第190話 チワワクエスト15

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 翌日、玉座の間。

 『犬小屋』に向かったメンツ(魔物どもは除く)が魔王の前に集められている。

「ということポメ」

 ポラニアが一連の流れを説明した。

「ほう、あの魔獣チワワを懐柔するとはな。渡した兵たちをほとんど使い潰したことは大目に見よう」
「ありがとうポメ、それで魔王様」
「なんだ?」
「シチュー様を僕のラボに預けて欲しいポメ」
「・・・・・・構わん、もとより旧魔王の忘れ形見だ好きにしろ」
「ありがたき幸せポメ」

 そういってポラニアは一歩下がる(すでに数百ページに渡る書類は渡してあったからな、あとはこういう公の場での許しを得るだけだった)。

 そして俺の番だ。

「魔王」
「なんだ」
「『犬小屋』での採掘許可をくれ」
「好きにするがいい」

 よし、これで魔鉱石を採掘できるようになった。

 魔王はその話は終わったとばかりに俺の隣にいる九大天王に視線を向ける。

「ディザスター」
「はっ!」
「チョウホウ街に迎え」
「チョウホウ街ですか」
「そうだ、王国軍の進行がそこまで来ている、他の九大天王は別の任務にあたっていて手が出せない」
「なるほど、あそこは広い上に入り組んでいて地下も深い、進行を止めるのにはうってつけでしょう」

 王国軍か、勇者に肩入れする邪魔者ってことろか。

「王国軍は強いのか?」

 あの硬いディザスターや、魔王砲を持ったチワワを解き放てば済みそうなもんだがな。

「人は強い」
「強いか?」

 あんな脆弱な肉体の人間が強いだと? 飯、睡眠、排泄、その他もろもろ必要な、効率の悪い人間が強いだと、戯言だ。

「ギア、人間を舐めるな。奴らは我らにはない強さを持っている」

 元人間の俺より、この魔王の方が人間を知ってるって感じだな。どうでもいいけどよ。

「まぁよい、そんな体になってまで奮闘したのだ、しばらく養生するがいい」

 あん? こんなもんパーツ取り替えりゃあすぐ元通りになる。

 とか言ってもしょうがねぇからな。

 報告は終わりだ、鉱山の整備に採掘した鉱石の加工、鉄なら溶かす鉄工所も必要だ。

 やることは山ほどある。


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