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三章『ギア編』
第204話 この3年間ぶっ通しで仕事してた
しおりを挟む「ふー、皆を労うのも気疲れますね」
「ああ(そうか?)」
一通り会場を回った俺たちは再び席に戻る。セラが隣の席に座っている。俺を見るや話しかけてきた。
「大仕事だったな」
「おう」
「これで魔王軍の勝利もより確実なものとなった」
「自惚れるな、まだまだ支度ができた程度だ」
この3年間、セラと小龍(ワイバーン)部隊には世話になった。重い荷物を空輸で運ばせたり、砕けねぇ岩を砕かせたり、工場で金属を溶かすのにも龍の炎は役に立った。
「まぁ色々助かった」
「······ギアが礼を言うなんて珍しいこともあるのだな」
なんだそのツラは、
「うるせぇ、助かったもんは助かったんだよ、素直に受け取っておけコラ」
「はは、不器用な奴だ、我が大将は」
そうこう話してるとポラニアが現れた。挨拶も程々に俺に耳打ちをする。
「ギア、向こうを見るポメ」
「あん?」
ポラニアが尻尾で指す方向を目だけを動かして見る。
メアが魔物どもと話している。
「メアがどうした?」
「メアもそうポメけど、その隣を見るポメ」
「隣?」
メアの隣を見る。白スーツを着た男がいる。
「あいつは確か」
「ゲーティー・スパだポメ」
ああ、3年前に一度だけあった事があったな、すれ違った程度だけどよ。
「そうだそいつだ、そいつがどうした」
「怪しいポメ」
「漠然とした感想は求めてねぇ」
「ここ3年くらいメアとつるんでいるポメ」
糞雑魚絶者候補どもを除いて、有力な絶者候補はメア以外の全員がこちら側についた。
最後の俺のライバルであるメアがあのうさんくせぇ白スーツの男とつるんでいる、となると。
「怪しいな」
「さっき言ったポメ」
「何してるかわかるか?」
「仕事でそれどころじゃなかったポメ」
「俺もだ、この3年間ぶっ通しで仕事してた」
つまりこの3年間、メアとゲーティーを自由にさせていたってことか。
「ゲーティーについて知っていることを話せ」
「商人だったはずポメ、『犬小屋』奪還後から頻繁に現れるようになったポメ」
「金の匂いを嗅ぎつけたか、あるいはメアと何か取引している可能性があるな」
「どうするポメ」
「聞いてくる」
立ち上がろうとする俺の腕をレイが掴む。
「なんだ?」
「今は仕事の話はしないって言ったじゃないですか」
「そうだったな、悪ぃ」
「ギアを止めた人を始めた見たポメ」
「へへん、こう見えても3年間もこの人でなしと付き合っているんですからね」
「チッ」
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