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三章『ギア編』
第239話 無限回廊
しおりを挟む魔王城に着いた。ブラギリオンは支度を済ませると言って自室に戻って行った。
俺はレイを連れて(メアは勝手についてくる)。もう一人の旅の護衛であるアリス様の元に向かった。
「今日言われて今日出立なんてありえないわ」
「早いに越したことねぇだろ」
「準備をしっかりしなきゃ足元すくわれるわよ」
「旅支度はレイに任せてある」
「それならもう終わってますよ。ギアは食料、衣類といった、人が必要とするものがいらないので準備が楽でした」
「メンテ用の工具一式は忘れんなよ」
「もちろんです。予備のボディパーツもポラニアが準備してくれているので安心してください」
「いい仕事だ」
「ありがとうございます」
メアはその様子を見て腕を組んでそっぽを向く。いつも機嫌が悪いよなこいつ。
魔王城内をしばらく歩く。
九大天王は部屋や屋敷を魔王城内にいくつか所有しているが、アリス様は魔王に近い場所に住んでいる。それは魔王を守るのが目的だそうだ。
のはずだが、
「アリス様の部屋はまだつかないのか?」
「いくらなんでも遠すぎますよね」
一向に着く気配がない。それどころか同じ道を延々と歩いてる気がしてきやがる。
「おいメア、どういう事だ」
「・・・・・・アリス様のスキル『無限回廊』が発動しているわ」
「どういうスキルだ」
「詳しくは分からないけど、同じ道をループさせたりするスキルらしいわ」
「防犯には打って付けだな」
だから魔王の近くに住んでいるのか。守るのが得意な九大天王ってことか。
「いつも私だけなら、私の魔力を感知してスキルを解いてくださるんだけど」
「おいそれって俺が嫌われているみてぇじゃねぇか」
「嫌われてるかはさておいて、困ったわ。ここから出られなくなったわ」
「何とかならないんですか」
「最悪の場合、餓死するかも」
「ええー、そんなの絶対に嫌ですよ」
「俺は永久機関だから平気だけどな」
「もーなに自分だけ助かろうとしてるんですか、いざとなったら食べますからね」
「歯車なんて食ったら腹壊すぞ、つーか俺だって急いでんだ、ちょっと荒療治だが、魔法を使うぞ」
俺は右腕を突き出して発射台の構えをとる。
通路の壁に穴を開けて脱出してやる。こいつは昔の遊園地にあった大迷路の必勝法だ。
「まって!」
「火(ファイヤー)の玉(ボール)」
メアの制止を振り切って俺は魔法を発動する(ちゃんと威力は抑えてある)。壁に穴が開く。部屋でも通路でもいい、どこかに繋がっているはずだ。
「ああもう! 危ないから穴から離れて!」
「なんだこりゃ」
壁の穴の先には無限の闇が広がっていた。
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