現代最強は楽しいハンバーガーに転生しました

黒木シロウ

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三章『ギア編』

第249話 スターライト4

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 魔法陣は半円状の光のドームを作る。これは中のものを閉じ込める結界魔法だ。聖騎士を捕縛することに成功する。

「・・・・・・これは確かに魔法陣だな、なぜ王国魔導師でもないお前たちがこんなものを」
「随分余裕」
「余裕だからな、先に名を名乗っておこうか。私はマスター・ド・ロイ。王国聖騎士、その大隊長だ」

 お告げの通り、本当に聖騎士大隊長だ。私たちが黙っているとロイは腕を組み訝しんだ目をする。

「お前たちの名前は? 名乗られたからには名乗るのが礼儀だろう」
「そんな常識は持ち合わせてないな」
「そうか。民間人に手荒な真似はしたくないんだ、これを解いてくれないか?」
「ダメ。まだここにいて」
「何を言っている。そして何を狙っている。金なら分けてやるし、身の安全が欲しいのであれば私たちが保護してやるが?」
「少し待って」
「話にならんな。この結界を切り裂いて出ていくことなど造作もないんだ。取引なんて最初から成立していないのが分からないのか?」
「だから待って」
「理由を言え、不毛な会話に付き合っているほど、私は暇ではない」
「来る」
「あれは・・・・・・」

 聖騎士の軍団に真正面から突っ込んでくる光が一つ。

「ビルディー様か!?」

 余裕な表情だったロイがここにきて初めて焦りを顔に出す。

 ビルディーが通った後にはとてつもない速度で建物が生成されている。周囲のビルの何倍もある建物がまるでヒュドラの首のように次々と生えている。聖騎士たちが建設に巻き込まれるのも時間の問題だ。

「ええい、結界を破るぞ」
「ダメここにいて! 分かるでしょ!」
「分からん! ビルディー様をお沈めせねば、我が大隊が散り散りになる!」
「不可能。今のビルディー様は建設期に入っている。誰もビルディー様を止めることはできない」


 そう私が受けたお告げは、彼を守ること。

 私たちがいなければ、仲間を守ることを選んだロイはビルディーに斬りかかる。仲間は守りきることはできるが、かわりにロイがビルディーに殺される。

 それを防ぐのが今回のお告げ。

 散り散りになる聖騎士大隊をロイは歯噛みして堪える。
 本来なら無謀な戦いを挑むところだが、私のような幼い、それも少女に諭されては本来の正しい選択をせざる負えない。

「礼は言わないぞ」
「礼には及ばない」

 私は魔法陣に注いでいた魔力を切る。魔力を絶たれた魔法陣は光を失い、結界が解ける。ロイは数歩歩き、歩みを止める。

「お前たちの事で聞きたいことは山ほどあるが今は仲間を助けるのが先だ」
「早く行ってあげて、それだけ救える命が増える」
「礼は言わないが、その顔は忘れない」

 そう言うとロイは駆け出して行った。

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