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三章『ギア編』
第256話 スターライト11
しおりを挟むギア到着の数時間前。チョウホウ街最北部。
私はひたすら北に進んでいる。どこに向かおうというわけではない、だからといって、この街にいたって何かがどうにかなるわけでもない。
あてのない旅だ。当面の目的として安住の地を探すのもいいかもしれない。でも簡単に人を信じれるほど私は初心(うぶ)じゃなくなってしまった。
この街に毒されつつも私は逞しくなった。こうして一人旅を続けていられているのがその証拠といえる。
「なんだか今日は騒がしい」
この辺りはビルディーが来る前は街ではなかった。建設期に入ったビルディーは闇雲に建物を建て続けている。チョウホウ街を超高層ビル郡にするだけでは飽き足らず、街の外周にも手を出し始めたのだ。
樹木の年輪のように日に日に拡大していくチョウホウ街。
だからこの辺りには人が少ない。
インフラが通っていないし、建設に巻き込まれた野生の魔物だっているしまつだ。戦争地域の街の中心部よりも危険度が高い(だからといって中央が安全とは言えない、戦地に完全に安全な場所などそもそもない)。
だけど、まったく人がいないわけではない。私みたいに魔王軍に襲われてここまで逃げてきた人も一定数はいる。
そしてそれらの人は魔物に襲われて淘汰される。
いま聞こえているのはその時に発生する悲鳴。
私は駆け出す。全速力で、低い奇妙な建物を飛び越え、建物と混ざりオブジェと化した木々を潜り。私は走る。
茂みからでると岩石鬼(ロックオーガ)が人間を襲っている真っ最中だった。
私は岩石鬼(ロックオーガ)を指さして高らかに言ってやった。
「ヘイユー」
非戦闘民を襲っていた岩石鬼(ロックオーガ)は私に視線を向ける。
この魔法は相手の意識を私に強制的に向かせる歌詞魔法(リリックマジック)。
歌詞魔法(リリックマジック)は言葉を連ねることで真価を発揮する。
相手が動く前に決める。
「お前は雑魚しか狩れない無類の雑魚専、そんなお前を俺は許せん、強者の技を食らって迎えろ終焉、いまここに築くぜ俺の戦線」
魔力生成した岩を、これまた魔力生成した大砲に装填する。
それを系4台。
「ファイヤっ!」
岩を同時に発射する。
普通に岩を魔力生成して放つよりもこうしたほうが威力が増す。さらに歌詞魔法(リリックマジック)によって数と威力が強化されている。
岩石鬼(ロックオーガ)の野太い悲鳴。全弾をコアのある胸部に当てた。1発なら耐えられても4発なら一溜りもない。
私は礼を言われる前に走り去った。もう人と関わりたくない。けど見捨てていいわけではない。
そろそろ日が暮れる。お腹がすいた。
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