現代最強は楽しいハンバーガーに転生しました

三章『ギア編』

第２６６話 スターライト２１

「ござるんるん！」

　ブラギリオンはポーズを決める。




　敵も味方も関係なく、誰もが知り認める最強の暗黒騎士、ブラギリオン。

　旧魔王時代の頃は四天王を務め、新魔王時代になった今でも九大天王としてその責務を全うしている。王国軍最大の敵の１人。

　幾度も戦地に赴いては武功を立て続け、この時代まで生きのこっている正真正銘の化け物だ。

　そんな王国軍側にいたのであれば間違いなく英雄と呼ばれている騎士が、ポーズを決めている。内股で、

　ブラギリオンはポーズを解いて顎に手を当てる。考えるような素振りをする。少しして、

「魔界アイドル、ロゴリスたんの『るんるんポーズ』をご存知でない？」
「すまんが知らないのぉ」
「それはとんだ無知さんでござるな！　マジ万死でござるよ！　拙者プンプンでござる！」

　馬車から声が聞こえた。

「真面目にやってください！」
「むむ、メアリー氏、すまぬ、すまぬゆえ、拙者の持ってきたフィギュアを質に取るのはやめるでござるよ」


　ブラギリオンは咳払いをする。

「えーっとぉ、戦いとかそーゆーのマジだるいでござるからぁ、首たれてもろてー、拙者が順に斬首ってくって流れでよきかな？」

　なんかギャル然とした態度だ。

「よくないわい」
「そうでござるか」

　ブラギリオンが気だるそうにルフレオたちに接近していく。

　ロイが剣を構えたまま話した。

「ルフレオ様、前衛は私が務めます、後方にいる２人の九大天王の相手をお願いします」
「ロイ、煽るつもりもお主を馬鹿にするつもりもないが、これだけは言っておくぞ、ブラギリオンには勝てん、ワシが殿を努めよう、後ろの子供を連れて逃げるんじゃ」
「・・・・・・聖騎士として聞き捨てなりませんが、あの存在はそういう存在なのでしょう。ですが一剣士として、挑まずに逃げる愚行が許されるはずもありません」
「そうか、よく言ったのぉ。チャンスができたら逃げるんじゃぞ」

　ルフレオの最後の言葉には答えずロイは向かってくるブラギリオンに一歩また一歩と歩を進める。

　ロイの構えを見たブラギリオンが声をあげる。

「むむ、其方のその構え、閃光流でござるな」
「知っていたか。王国でいくつもある流派の中でも最速を誇る流派だ」
「プークスクス、知っているもなにも、その流派の元祖は拙者でござるよ」
「何っ！？」

　ロイは見るからに狼狽している。

「ていうかー『全ての流派の元祖』は拙者でござるよ？  ニワカ乙でござるなー」
「なんだと！　全ての元祖だなど戯言を！」
「はぁ、拙者が何万年前から存在していると思っているでござるか？  剣のない時代から棒切れを振り回していた拙者でござるよ？」
「・・・・・・全ての流派・・・・・・だと？」
「閃光流、破邪流、疾風流、静林流、猛火流、無陰流、不山流、雷霆流、流水流、土涛流、爆連流、爆砕流、ぽんぽん流、その他その他。・・・・・・全ての源流は拙者の剣から始まったでござる」
「な・・・・・・ッ！」

　その言葉だけでも戦意を喪失しそうになっているようだ。よく分からないけど、師匠の師匠のずっーと前の師匠と出会った感じだろうか。

　ロイの様子を見たブラギリオンは肩をすくめる。

「最近ハマってるのはぁー、暗黒流の剣技でござるな、この鎧を手にしてからキャラ付けで使っていただけでござったが、なかなか気に入ってるでござるよ」