現代最強は楽しいハンバーガーに転生しました

黒木シロウ

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三章『ギア編』

第289話 サンライト10

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 ブラッドハウンドの固有魔法(ユニークマジック)か、血を操る魔法。血液魔法(ブラッドマジック)と名付けようか。

 少女は無事だな。檻の結界が割られているが問題ない。

 そしてブラッドハウンドの魔法だが、生きている者の体内の血液は操作できないようだ。できるとしたらすでにやっているはずだ。

 俺は少女の元に駆け寄る。周囲は浮遊した血液が無数にある。

 少女を檻から出してやると怯えたようにすがりつく。

 俺は少女の頭を撫でてやる。そしてギムコ村に置いてきた妹を思い出す。



「守るものさえあれば俺はどこまでも強くなれるのだ」



 城壁に登ったブラッドハウンドが俺たちを見下ろす。そして吠えた。

「ババウバウッ!」

 ブラッドハウンドの特殊な咆哮のあと、俺たちの周囲に浮かんでいる血が動き始める。

 血は鋭利な刃物となり俺たちを襲う。俺はスキルを発動させた。

「旋風裂閃!」

 この技は荒れ狂う暴風をイメージした俺の十八番といえる技だ。

 双剣を装備していないと発動すらできないが、発動さえすれば格上の剣士でさえ容易に倒すことができる。

 俺は鋼鉄のように硬い血液と剣を交える。
 一瞬にして周囲に漂っていた危険な血を地にたたき落とす。

 今だ!

「ここは血で囲まれている、今から外に出る、しっかり捕まっていろ」

 俺は少女を背負うと跳躍する。監視塔から出て針の森を駆け抜ける。


 ブラッドハウンドは俺と並走している。
 血は空を飛び、ブラッドハウンドに纒わり付く。

 なるほど、ブラッドハウンドが血濡れているのはそういう理由か、他者の血を纏い武器にする。これ以上血を纏われるのは厄介だ。

 ここで倒さなければ、Sクラス突破も・・・・・・いや、Sクラスの頂上には龍(ドラゴン)がいる。


 ブラッドハウンドの体が蠢く。血が鋭利な触手を形成してが俺たちに襲いかかる。




 俺の双剣は聖剣ではない。聖剣は聖騎士だと公言して回っているようなものだからな。王国に置いてきた。

 現在、使用している双剣には聖なる加護は一切宿っていない。
 この武器は現地で調達した物だ。つまり魔界産の双剣だ。

 俺は双剣に魔力を注ぐ。

「地獄(ヘル)の炎(フレイム)」

 俺の呪文に呼応して双剣の刃が黒く燃える。そうこの双剣も魔法道具(マジックアイテム)なのだ。お陰で王国から持ってきた金をほとんど使ってしまったのは内緒だ。

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