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三章『ギア編』

第301話 サンライト22

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 夕食のあと、魔人たちが支度を始めた。
 俺は近くにいる蛇の魔人に問いかけた。

「今日の仕事は終わりじゃないのか?」

 すると蛇魔人はすぐに答えた。

「仕事に終わりなんてない、まだまだノルマが残っている」

 俺は知っている彼らが持ってきた魔鉱石の量を、あれだけあれば、しばらくは大丈夫だろうと言えるくらいの収穫だ。

「あれで足りないのか?」

 その質問にはレイラが答えた。

「使えるのはあの中の1%もないので」

 あの魔鉱石は十分に魔力を含んでいる。それでも質が足りないとなると・・・・・・。

「一体何を作っているんだ?」
「勇者を殺せる機械兵です」

 俺は絶句した。魔王軍がここまで準備をしているとは思わなかった。ここ100年間は魔王も変わったせいか、そこまで大きな戦争は無かったからだ。

 油断させるための罠だったということか。

「その機械兵の名前は?」
「キラーキラーっていいます」
「キラーキラーか、強さはどうなんだ?」
「私はよく分かりませんがSクラス程度はあるんじゃないでしょうか?」

 各クラスには下位、中位、上位がある。Sクラスと言われただけでは戦闘力や、その脅威の判断がつきにくい。

 しかし、周りの魔人たちがSクラス下位はあることを見るに、キラーキラーは中位、・・・・・・あれだけの魔鉱石を素材にしているんだ。Sクラス上位。それも最上位クラスは想定しておいた方がいいだろう。


 魔王城に戻らねばならない。


 その時。『犬小屋』の山頂部が崩れる。
 現れたのは・・・・・・、数え切れないほどの千足(サウザンドレッグ)の群れだ。真っ直ぐにこちらに向かってくる。

 レイラは数秒それを眺めて『あれは無理』と呟いたあと、笛を吹く。

「総員退避! 総員退避!」

 魔物と魔人たち瞬く間にその場から逃げ出す。トンネルに避難しないのは千足(サウザンドレッグ)は地上と同じ速度で地中を移動できるからだ。

「オガサさんたちも早く避難してください!」

 俺が避難しようとコスモとダリアの元に駆け寄ったタイミングで、空から音が聞こえた。

「あれは・・・・・・なんだ?」

 金属の塊が空を飛んでいる。


「あ! キラーキラーだ!」

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