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四章『トマト編』
第319話 王城
しおりを挟むトランテス王国。王城城門前。
華やかな王都を抜ける。
城門に着くや否や。門番が駆け寄ってきた。
「その姿、勇者さまですね」
「もちのろんだ」
俺が偽物と疑われないのはハンバーガー生命体は俺しかいないと言うことと、ここまで送り届けてくれたジゼルとエリノアがいるからだろう。
ただ、アイナとヒマリにはノータッチというわけにはいかないようだ。訝しんだ目で2人を見ている。
「失礼ですが、そこの御二方は?」
「連れだ」
「お連れの方ですか」
「入れないか?」
「王城に入れるのは王さまの許可が降りたものだけです」
俺を肩に乗せているアイナは「しょうがないです。近くの広場で待ってますね」と小声で言ってくれた。
だがダメだね。
「そういうわけにもいかない。このメンバーだからこそここまで来れたのだ」
「ですが」
「彼女はエルフのアイナ・フォルシウス。俺の幼馴染で弓の名手だ」
「フォルシウス・・・・・・あのフォルシウス家の、ですか」
「あのってなんだ」
「フォルシウス家は王国に使える貴族の家系です。勇者様の幼馴染というとタスレ村住在ということですね」
アイナは貴族だったのか。
「ああ」
「となると、フォルシウス家次男、イシルウェ・フォルシウス様のご令嬢ということでよろしいでしょうか?」
「えっと、アイナどうなんだ」
「はい。合っています。私はイシルウェ・フォルシウスの娘。アイナ・フォルシウスです」
聖騎士は「しかし」と、疑問を口にする。
「私の記憶が定かなら、イシルウェ・フォルシウス様の目の色は青眼だったはずです」
ん? 確かにイシルウェの目の色は青だったな。だがアイナの目の色は、
「アイナ様の目の色は真紅、これはどういうことなのでしょうか」
「見た目で判断するつもりか?」
「いえ、そのような。・・・・・・こほん、分かりました、アイナ・フォルシウス様の入場を特別に許可しましょう」
「・・・・・・俺から言っといてなんだが、そんなこと勝手に決めていいのか? 後で怒られないのか?」
「問題ありません」
なんだこの自信満々な態度は、急に態度を変えたぞ。
「そこの少女はこちらで一時的にお預かりいたしましょうか?」
聖騎士の視線はヒマリに向けられている
「その必要も無い」
「まさかこの方も」
「いや、この子は貴族の子供ではない。聖騎士の妹だ」
「聖騎士の妹ですか」
「そうだ。サガオ・サンライト、と言えば伝わるかな」
「もちろん伝わりますとも、ではこの子がヒマリさんですか」
「知っているのか」
「彼は口を開けば妹のことばかり話していましたからね」
ヒマリは赤面している。
「じゃあ彼女も通っていいか? どうしても彼女の口から国王様に伝えなければならないことがあるんだ」
「はいどうぞ。今から城門を開きます。少しお待ちください」
「ありがとう」
聖騎士が門の上に合図をする。するとゆっくりと大きな城門が開いていく。
エリノアが両手を頭の後ろに組んで進んでいく。
「ミーが口出しするまでもにゃかったにゃー」
「こんなすんなり通しちゃってあの門番大丈夫なのか?」
エリノアの後ろにいるジゼルが答えた。
「あの人は特異体質。幻術を見破る看破の眼を持っている」
「なるほどそれで俺たちが偽物じゃないってわかってたのか」
「そういうこと。一応最初は断らないといけないルール」
ジゼルがその後に「割と誰でも通す」と言っていたような気がしたが気のせいだろう。
門番一人とってもレベルが高い。王国に来たって感じがするな。まぁ、それ以上にこの絢爛豪華な城をみれば一目瞭然だがな。
ちなみにスーは宿屋で寝ているので置いてきた、置き手紙してあるから、ちゃんと留守番してくれるだろう。お菓子置いてきたしな。
モーちゃんは懐いているとはいえ魔物なので、王都にはまだ入れていない。
国王からの特別許可もしくは、魔物使いがいない場合は連れてこれないそうだ。さすがに国民を不安にさせるようなことはできないのでモーちゃんには説明して納得してもらった。
高めの金を払ってジゼルがすすめる預かり所に置いてきた。少しのあいだ寂しい思いをさせてしまうな。あとで美味しい干し草を持っていこう。
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